上川陽子外相がニューヨークで「外交デビュー」 林芳正氏の後任、会談で問われる手腕「リベラル色」に一部懸念も

上川陽子外相は18日午後(日本時間19日午前)、米ニューヨークでアントニー・ブリンケン米国務長官と会談した。両氏の対面による会談は初めて。上川氏は国連総会の関連会合のため訪米中で、第2次岸田文雄再改造内閣発足後、本格的な「外交デビュー」となる。日本を取り巻く外交・安全保障環境が厳しくなるなか、上川氏の手腕が注目される。
「国連という大舞台で日本の存在感を示し、各国のカウンターパートと信頼関係を構築したい」
上川氏は15日の記者会見で訪米について、こう意気込みを示していた。
ブリンケン氏との個別会談では、日米同盟の重要性を確認し、ロシアのウクライナ侵攻や、北朝鮮の弾道ミサイル発射をめぐり、緊密に連携することで一致する見通しだ。
上川氏は18日(同19日)、G7(先進7カ国)外相会合を開く。日本は今年、G7議長国で、上川氏は会合で、ウクライナへの支援継続とロシアへの制裁強化に向けた議論を主導する考えだ。その後、日本と米国、インド、オーストラリアによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」外相会合にも出席する。
13日の内閣改造では、「政界屈指の親中派」とされる林芳正氏が退任した。後任の上川氏は、米ハーバード大学行政大学院を修了し、米上院議員の政策スタッフを務めた経歴を持つ。法相時代にはオウム真理教の元教祖らの死刑執行命令書にサインしている。
上川外交をどう見るか。
福井県立大学の島田洋一名誉教授は「林氏の親中姿勢に米国は疑念を持っていた。上川氏は米国留学経験はあるが、リベラル色の濃いハーバード大学行政大学院出身という点にやや懸念がある。現在の民主党政権とは合うだろうが、共和党との連携ができるかも重要だ。拉致問題や台湾について目立つ発言も聞かれない。G7を主導し、毅然(きぜん)とした姿勢で国際社会に発信できるかが注視される」と語った。

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