偽のショッピングサイトを使った詐欺に関する被害や相談が兵庫県内で増加している。電子決済アプリを利用して返金をもちかけ、金をだまし取る新たな手口も目立ち始めている。県警は「返金してもらいたいという意識が先行し、怪しまずに指示に従ってしまうので注意が必要だ」と警戒を強める。
これまで偽の商品販売サイトでの被害は、商品を購入し代金を支払ったにもかかわらず、商品が届かず連絡も取れないといったケースが多かった。新しい手口は電子決済サービス「PayPay(ペイペイ)」などを悪用。商品代とともに二重に金をだまし取られる。
具体的な手口はこうだ。商品が届かないと問い合わせた利用者に向けて、サイトの担当者を名乗る者から「商品が欠品している。電子決済サービスを通じて返金したい」とメールが届く。無料通話アプリなどでのやり取りに誘導され、電子決済サービスをダウンロードし、クレジットカードとひも付ける操作を指示される。その後、「お金をチャージして送金してほしい。送金された金額と合わせて商品代を返金する」などと誘導され、相手のアカウントに送金してだまし取られる。相手のアカウントは削除され、連絡が取れなくなる。
県警サイバー捜査課によると、県内では商品が届かなかった利用者に返金をもちかけるメールなどが届いたケースが8月末までに31件あった。うち13件が送金して被害に遭った。送金による被害総額は約370万円に上る。県内在住の40代男性はパソコンを購入したが商品が届かず、電子決済アプリで送金を促され、商品代に加えて約58万円だまし取られた。
国民生活センターによると、同様の相談は全国的にも増えている。担当者は「明らかに値引き幅が大きすぎたり、振込先の銀行口座が個人・外国人名義だったりすると注意が必要だ」と指摘。「商品購入のときは銀行振り込みなのに、返金は電子決済と手口が異なるのも怪しい」と注意を呼びかける。【澤俊太郎】