那須・朝日岳で男女4人遭難死、隣の茶臼岳に登った男性「吹き飛ばされそうな強風だった」

栃木県那須町の朝日岳(1896メートル)の登山道付近で7日、60~70歳代の男女4人の遺体が見つかった。6日午後に登山者から通報があり、県警と消防が捜索していた。県警は4人が遭難したとみて、詳しい状況や死因を調べている。
県警の発表によると、死亡したのは同県さくら市の無職男性(69)、宇都宮市の無職女性(72)と同市の無職女性(79)、大阪市中央区の男性医師(65)。医師を除く3人は同じグループとみられる。
県警によると、6日午後0時25分頃、登山者から「2人で登山をしていたが、一緒にいた男性が低体温で動けなくなっている」と110番があった。約15分後には別の登山者からも「2、3人が動けないでいる」と110番があった。
警察は消防と捜索に向かったが、遭難現場の手前で風速20メートル超の強風が吹いたため捜索を中断。7日午前6時10分から再開し、午前8時過ぎまでに栃木県の3人を尾根の登山道で、医師を登山道脇の茂みからそれぞれ発見した。
宇都宮地方気象台によると、那須町を含む栃木県北部には6日午後6時過ぎまで強風注意報が出ていた。同町の6日正午の気温は12・9度で、通報者は、現場は雨が降ったりやんだりし、ひどく寒かったと警察に説明している。
7日に朝日岳の隣の茶臼岳を登ったという横浜市の男性会社員(67)は、「山頂では体をかがめていないと吹き飛ばされそうなほどの風が吹いていた。昨日はこれ以上の強風だったと聞くので、本当に恐ろしい」と表情を曇らせた。
県山岳・スポーツクライミング連盟の増渕篤史・遭難対策委員長(52)によると、朝日岳は、寒さや風などの条件によっては熟練者でも登るのが難しい山だという。増渕氏は「現場は尾根で風を受けやすい。平地と山の天気は異なることを頭に入れて登山してほしい」と話している。
7日は各地で登山者らの遭難が相次いだ。長野県の焼岳で東京都世田谷区の男性会社員(56)が右足首を骨折したほか、山梨県や福島県などで少なくとも計11人が救助された。

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