特殊詐欺や強盗などの凶悪な犯罪にまで発展し社会問題となっている、いわゆる“闇バイト”。なぜ手を出す若者たちが後をたたないのか。少年院で実際に闇バイトに関わった少年たちを取材しました。
今年5月、東京・銀座の高級時計店で起きた強盗事件。「ルフィ」を名乗る指示役による全国の強盗事件。逮捕された実行犯グループを結びつけたのは、いずれも“闇バイト”でした。
なぜ“闇バイト”に応募し、犯罪に手を染めたのか。少年院で実際に話を聞きました。
新潟県長岡市にある少年院。特殊詐欺に関わった少年が集められ、再犯防止の専門プログラムを受けています。
教官「誰に認められたかったんだろう?」
特殊詐欺に関わった少年「周りからすごいって思われるのが、認められてるのかなって思っていて」
「ブランドものとか好きなもの買ったり、友達におごったりして、何もない自分をお金で隠してた」
プログラムの最大の目的は、自らの問題に気づかせることです。
新潟少年学院 山本一成法務教官「ここ最近はSNSで応募してとか、レスを返して始まったという少年が多くなっていて、乱暴なことは好まない子が増えてきてるなと」
実際に“闇バイト”に手を出してしまった少年。「副業」というキーワードでSNSを探していると、犯罪とは関係なさそうな割のよい仕事を案内されました。
「受け子」だった少年「荷物を発送して1回5000円みたいな感じだったんですけど、それを一回やってから次は『本当の仕事を説明します』って言われて」
次に紹介されたのは、高齢者からお金を騙し取る詐欺の「受け子」。なぜ断れなかったのでしょうか?
「受け子」だった少年「もう既に1回目の仕事をしてるわけじゃないですか、荷物の発送の仕事。もう君は既に詐欺に加担してるんだ。もし逃げたら顔写真をネットにばらまくし、怖い人が家に行くよみたいな」
「受け子」を集める「リクルーター」だった少年にも話を聞きました。
「リクルーター」だった少年「やっぱり受け子すぐ捕まっちゃう。本当にもって3週間とかぐらいなんで、その間でどんどん見つけないとお金が入ってこなくなっちゃう」
その言葉からは「受け子」を「使い捨て」として集めるため、闇バイトを使っていた実態が浮かび上がります。
「リクルーター」だった少年「使える手段は全部使って探してました。ツイッターの闇バイトとか、結構投稿したら反応があったりとかしたんで。自分が紹介しなかったら生まれていなかった被害者の方とかもいるでしょうし、本当にそういうところも軽く考えてしまっていたなと思います」
少年院ではきょうも、安易な入り口から犯罪に手を染めた少年たちが罪の重さに向き合っています。