コロナでの行動規制もなくなり、活気が戻った夜の街で増加しているのが〝ぼったくり被害〟だ。中でも報告が多いのが愛知県名古屋市。歓楽街・錦三丁目などがある栄エリアでは客引きのキャバクラによるぼったくりが増えており、今年1月から6月までの被害相談件数は74件だった。
ほとんどは無許可営業の店で、今年4月には今池の雑居ビルに入る「高級キャビア専門店」が客に数十万円の飲食代を請求したなどとして、客を接待していた経営者の女ら5人が逮捕された。女はマッチングアプリで出会った男性に「特別な日だから高級な店に行ってみたい」などと自分の店に誘い込み、高額なメニューを注文するなどして、少なくとも8000万円を売り上げていた。
過去に似たようなぼったくり店で働いていたという女性に話を聞くことができた。
「高級レストランに見せかけて実は違法キャバクラ…というのは名古屋ではよくある手口です。働いていた店では、昼間から店が営業する夜8時まで、マッチングアプリで会える男性を探すように言われました」
会える男性が見つかったら、待ち合わせをして店に連れて行く。一見、普通のキャバクラと変わらず、次のような手口で高額請求をしたと語る。
「何か頼んでいいかと聞いて、キャビアとかフォアグラなどの料理を大量に注文するんです。支払えないと言う客は、店長がATMに連れて行って無理やり払わせていました。昼はアプリで1000通くらいメッセージを送って、夜は接客。これだけ働いても月給は20万円しかもらえず、すぐに辞めましたけど」
今でもこの店は存在するそうだ。今年5月、東京・歌舞伎町のぼったくりバーの経営者の男が逮捕された事件では、女性従業員を闇バイトサイトで募集していたことが分かった。過酷なぼったくり店で働かされる女性も多いのだろうか。
■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街でニッチなネタから盛り場の変遷までを幅広く取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。X(旧Twitter):https://x.com/ayumikawano/