自民党の麻生太郎副総裁がまた言いたい放題──。
麻生氏が福岡で講演し、GDP比2%への防衛費倍増や反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を決めた岸田首相について「誠実そうに、リベラルそうに見える顔が世のなかに受けている」と“麻生節”で評価したと、24日、テレビ朝日が報じたのだが、驚いたのは発言の具体的な中身だ。
敵基地攻撃能力の保有を専守防衛に反するとしていた公明党に認めさせたというくだりで、こう言い放ったのだ。
「公明党の一番動かなかった、がんだった、いわゆる山口、石井、北側等々、一番上の人たち、その裏にいる創価学会、そういったものも含めて納得する形になって、公明党に認めさせています」
公明党の山口代表、石井幹事長、北側副代表の3人に加え、支持母体の創価学会の名前を出したうえで、「がん」呼ばわりしたのである。
「麻生さんの公明ギライは公然の秘密みたいなものではありますが、名指しで『がん』とは、ちょっと放言が過ぎる。せっかく東京で、地に落ちた自公の関係を修復したばかりなのに……」(公明党関係者)
公明・山口代表は内閣改造を「内向き」とチクリ
岸田内閣の再改造で、首相補佐官に元国民民主党副代表の矢田稚子氏が起用されたことも、自公関係を微妙にさせている。
公明幹部は「寝耳に水」と不快感を示したという。くすぶり続けている国民民主の連立入りの布石とみられ、「麻生・茂木幹事長-玉木代表・榛葉幹事長」が矢田氏登用を協議したとされる。
「来月22日には衆参2補選があるのに、自民は楽勝と考えているのか。これから臨時国会も始まる。経済対策や補正予算もある。その先は解散総選挙も。そんな時期に、麻生さんはどういうつもりなのか」(前出の公明党関係者)
日本維新の会が大阪・兵庫で公明との選挙協力を解消し、独自候補を立てる。公明が関西での議席減をカバーするには、東京や埼玉、愛知、広島での自民の協力が不可欠だ。一方で、自民は公明票がなければ50人前後が落選危機といわれている。そんな“選挙互助会”が再びガタガタしてきた。
公明・山口氏は24日放送のBS朝日の番組で、内閣改造が政権浮揚につながっていないことについて、「内向きのことだけでは国民にアピールしきれなかった」とチクリ発言してもいる。麻生氏の暴言をきっかけに、自公の再決裂があるか。