36人が犠牲になった2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第17回公判が27日、京都地裁であった。量刑に関する審理が始まり、冒頭陳述で検察側が「類例なき 凄惨 な大量放火殺人事件だ」と主張。弁護側は「検察が今後、死刑を求刑する可能性がある」とした上で、前提として死刑制度が許されるのか考えるべきだと訴えた。
公判は長期に及ぶため、〈1〉経緯、動機〈2〉刑事責任能力〈3〉量刑――に分けて進められており、この日は3回目の冒頭陳述となった。
検察側はこの日の冒頭陳述で、量刑の判断では、▽結果の重大性▽ガソリンを用いた残虐性▽遺族の処罰感情――などを重視するよう求め、「筋違いの恨みによる 復讐 として及んだ犯行だ」と改めて強調した。
被告人質問で、青葉被告は弁護側から公判で感じたことを聞かれ、「(被害者の)一人一人に顔があり、子どもがいるのに亡くなった人もいると痛感した」とし、「あまりにも浅はかだった。後悔が山ほど残る事件になった」と語った。
被害者参加制度を利用して遺族も心情などを聞いたが、弁護側が「被害感情の立証が終わった後に質問するべきだ」と述べた後、一転して青葉被告は「今は差し控える」と繰り返した。被告人質問に立った寺脇晶子さん(ペンネーム・池田晶子さん、当時44歳)の夫(51)は閉廷後、報道陣に「本当の気持ちを聞きたいと臨んだが、遮られてしまい、さらに傷つけられた。本当に情けなく、つらい日になった」と憤った。