米軍が全てのオスプレイの飛行を一時的に停止すると発表したことを受け、飛行に反対してきた神奈川県内の市民団体や自治体の担当者からは安堵(あんど)の声が上がる一方、安全対策の徹底を求める意見や、飛行中止決定の遅さに対する批判も聞かれた。
米海軍厚木基地(綾瀬市、大和市)では、鹿児島・屋久島沖で米空軍輸送機CV22オスプレイが墜落した11月29日、別型のオスプレイ4機が飛来し、これ以降も離着陸が確認されてきた。
米軍基地を監視する市民団体「リムピース」共同代表で、第5次厚木基地爆音訴訟団副団長の金子豊貴男さんは「事故の原因究明と安全対策を明らかにしてほしい。オスプレイは欠陥機であり、(永続的に)飛行を停止すべきだ」と訴えた。
厚木基地爆音防止期成同盟の石郷岡忠男委員長は「もっと早く飛行停止の発表をしてもらいたかった」と批判した。
飛行中止を求めてきた大和市の野嶋宏昭・基地対策課長は取材に「今後も状況を注視する。国は市民に対して改めて(オスプレイの)安全性について丁寧な説明をする必要がある」。これまで何度かオスプレイの駐機が確認された米軍の港湾施設「ノースドック」がある横浜市の基地対策課は「原因究明や再発防止、情報提供を求めたい」とし、今後も要望を続けていく考えを示した。
「県基地関係県市連絡協議会」(会長・黒岩祐治知事)の事務局を務める県基地対策課も「(飛行停止を求めてきた)協議会の要請の一部が実現したと受け止めている。安全確保に努めてほしい」と要望した。【佐藤浩、岡正勝、遠藤和行】