岩手伝統の蘇民祭が来年2月で終了 全裸騒動乗り越えるも…高齢化の波には勝てず

岩手・奥州市で1000年以上にわたり開催されてきた黒石寺蘇民祭が、来年2月を最後に終了することが発表された。祭りの運営を担う関係者の高齢化が主な理由だという。
妙見山黒石寺は公式サイトで再来年以降は蘇民祭を実施しないことを明言。「その理由は、現在祭りの中心を担ってくださっている皆様の高齢化と、今後の担い手不足により、祭りを維持していくことが困難な状況となったためです」と説明した。
蘇民祭は裸祭りともいわれる。多くの男性がふんどし姿になり水や火の粉を浴び、最後は蘇民袋とその中にある小間木(こまぎ)を奪い合う。その過程でふんどしが外れてしまうこともあった。1000年以上の歴史を持つ国指定無形民俗文化財だけに、多くの人が参加していた。
しかし、「今後可能な限り祭りを継続することも検討しましたが、祭り直前での急な開催中止等、多くの皆様にご迷惑をかけかねない事態の発生を防ぐため、祭り自体を行わないという判断に至りました」(公式サイト)という。
蘇民祭は過去にも危機を迎えたことがあった。2008年、上半身裸の告知ポスターがJR東日本から掲示拒否になったことが全国的なニュースになり、地元関係者にとっては不本意な形で注目を浴びることとなった。
当時、本紙も現地に急行。関係者によると地元警察から公然わいせつになるから全裸にならないよう事前通告があったという。実際に祭り会場に警察官が配備される厳戒態勢だった。
毎年祭りに参加していた男性が「昨年、裸になったら事情聴取された。今年は即逮捕と言われている。逮捕されてまで脱ごうとは思わないよ」とビクビクしていたほどだ。
とはいえ、少なからずポロリはあったわけだが、逮捕もなく終了。危機を乗り越えたものの高齢化はどうしようもなかった。
最後の黒石寺蘇民祭は来年2月17日に開催される。

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