自民党の最大派閥・安倍派(清和政策研究会)がパーティー券の販売ノルマを超過した分に応じて政治資金収支報告書に記載せずに議員にキックバック(還流)していた疑いについて、東京地検特捜部が臨時国会が閉会する13日以降、同派幹部ら国会議員を任意で事情聴取する方向で調整していることが9日、関係者への取材で分かった。上級庁と協議の上で最終判断するもようだ。
議員により不記載額は大きく違うとみられ、特捜部は悪質性や関与の度合いなどを慎重に見極めながら、会計責任者だけでなく議員本人にも経緯を確認する必要があると判断したとみられる。
安倍派を巡っては、販売ノルマ超過分に応じた還流分が松野博一官房長官ら幹部6人側の収支報告書に記載されていなかった疑いも浮上した。
関係者によると、6人は松野氏のほか、安倍派座長の塩谷立元文部科学相、同派の実務を仕切る事務総長の高木毅国対委員長、同派幹部の世耕弘成参院幹事長と萩生田光一政調会長、西村康稔経済産業相。塩谷氏を除く5人は同派の「5人衆」として知られる。
6人の関連団体は平成30年~令和4年分の収支報告書で多くて1千万円超の還流分を記載しなかった疑いがある。松野氏は元年9月に安倍派事務総長に就任。西村氏はその後任で3年10月、高木氏は西村氏の後任で4年8月から事務総長。
安倍派は毎年のパーティーでパーティー券の販売ノルマ超過分を議員に還流していたとされるが、平成30年~令和4年分の収支報告書には記載がなく、不記載は総額数億円に上る恐れがある。