自民党の「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入を還流させていた問題で、松野博一官房長官(61)と高木毅国会対策委員長(67)、世耕弘成参院幹事長(61)の3氏側がそれぞれ直近5年間で1000万円超の還流を受け、政治資金収支報告書に記載していない疑いがあることがわかった。松野氏は同派の元事務総長で、高木氏は現職。東京地検特捜部は、3氏からの事情聴取も視野に捜査を進める。
関係者によると、安倍派では、パーティー券販売のノルマ超過分について所属議員10人以上が派閥側からキックバックを受けるなどし、派閥側と議員側の収支報告書に収入や支出として記載されていない疑いがある。このうち松野、高木、世耕の3氏側がキックバックを受けるなどして裏金化した金額は、2018~22年の5年間でそれぞれ1000万円を超えるとみられる。派閥実務を取り仕切る事務総長を松野氏は19年9月~21年10月に、高木氏は22年8月から務めている。
このほか、多額には至らないものの、キックバック分を収支報告書に記載していなかった同派幹部もいるという。
特捜部は政治資金規正法違反(不記載、虚偽記入)容疑での立件を視野に捜査。同派の会計担当職員らは任意の事情聴取にキックバックや収支報告書に記載しなかった経緯などを認めているとされる。特捜部は同党議員数十人からの聴取を検討している。
同法は、収支報告書の記載や提出の義務を政治団体の会計責任者に課している。不記載などを政治家が指示していたり、了承していたりした場合は「共謀」に問われる可能性がある。
高木氏は衆院当選8回で復興相など、世耕氏は参院当選5回で経済産業相などを歴任した。