放課後等デイサービスの施設で少年が行方不明となり、その後、死亡した事故で、施設の代表らが再逮捕されました。
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清水悠生さんの母・亜佳里さん(12日)
「はるちゃんが悪いんじゃなかったんだね。悪かったのは大人だった。ママが助けられなくてごめんね」
大阪府吹田市の放課後等デイサービスで、利用者の清水悠生さん(当時13)が死亡した事故から1年。12日、大きな節目を迎えました。不適切な対応で悠生さんを死亡させたとして施設の代表・宇津慎史容疑者(60)ら2人が業務上過失致死の疑いで再逮捕されたのです。
事故が起きたのは去年12月、送迎の車から降りて施設に入るまでのわずか4メートルの間でした。悠生さんは突然走り出し、行方不明になりました。警察や消防が捜索しましたが、1週間後に近くを流れる川で遺体で見つかりました。
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9日に一周忌を迎え、親族や親しい友人などを集め法要を行いました。
清水悠生さんの母・亜佳里さん(9日)
「悲しくてつらくて。助けたかったなと思っています」
重度の自閉症などと診断されていた悠生さん。じっとしていられず衝動的に走り出すことがあり、施設と両親は、車の乗り降りの時は必ず2人以上のスタッフで対応することを取り決めていました。
しかし、当時対応したのは車の送迎をしていた運転手の男性のみ。施設によると、運転手は業務を重ねることで“1人で大丈夫”と考えるようになり、事故の3か月ほど前から1人で誘導していたとみられています。なぜ約束は守られなかったのか。
両親は公の場での説明を求める署名を集め、提出。
清水悠生さんの母・亜佳里さん(1回目の署名提出、今年9月)
「過去は変えられないですけど、未来を変えてほしいと思っています」
この時、署名を受け取ったのは施設の代表である宇津容疑者でした。
宇津慎史容疑者(逮捕前)
「警察の取り調べを受けている最中なので、話せないことの方が多いので申し訳ございません」
署名は2回、提出されましたが、今も納得のいく説明は行われていません。
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事態が大きく動いたのは11月です。宇津容疑者らが別の利用者の高校生に対し、両手をつかんで引きずり、顔を蹴るなどの暴行を繰り返していたとして逮捕されたのです。
そして12日、警察は、車で送迎する際、2人で対応するなどの事前の取り決めを守らず、不適切な対応で悠生さんを死亡させたとして業務上過失致死の疑いで宇津容疑者ら2人を再逮捕しました。警察は認否を明らかにしていませんが、男性運転手についても今後、書類送検する方針です。
逮捕を受け、悠生さんの母親は…
清水悠生さんの母・亜佳里さん(12日)
「一報を聞いてびっくりしたのと同時に安堵(あんど)しています。この一年、本当に毎日会いたくて会いたくて。できることなら子どもを返してほしい。でもそれができない。『助けられなかった、ごめんね』と、毎日あの子に話しかけています」