紺のズボンからストライプ柄のワイシャツの裾を出し、丸刈り姿で入廷した37歳の男。
5月3日夜に北海道釧路町のアパートで、この部屋に住む元交際相手の女性教諭(39)を包丁で刺殺した罪に問われている藤山功至被告です。
12日から始まった裁判員裁判で藤山被告は「間違いありません」と起訴内容を全面的に認めました。
◆交際の経緯
検察側の冒頭陳述によると、2021年11月、婚活パーティで知り合い交際。
しかし、2022年7月ごろから藤山被告は女性のクレジットカードを無断で使いスマホゲームに20万円以上課金します。
裁判で藤山被告は「夜だったので金をおろすのが面倒くさかった」と証言しました。
◆動機
去年クレジットカードの不正使用に気づいた女性は藤山被告に月々2万7千円、合計25万円余りの弁済を約束させ、交際関係は破綻。
その後、女性が別の男性から告白されたと告げられ、「誰かに取られたくない」と嫉妬や焦りの感情が沸いたと語る一方で、別の複数の女性にストーカー行為を繰り返していたといいます。
殺害された女性との復縁を熱望する藤山被告は、ことし3月ごろからLINEや電話で頻繁に女性に連絡。
ストーカー行為に恐怖を感じた女性が藤山被告の母親を通じて、今後いっさい関わらないことなどを誓約させる念書を渡します。
受け取った藤山被告は激怒し「プツンと切れるものがあった。復縁は無理」と思い殺害を決意。
犯行前日の5月2日夜、介護職員だった藤山被告は仕事で使っていた包丁を見て翌日の殺害と自殺することを決めたといいます。
◆犯行状況
藤山被告は犯行当日、女性のアパートの下見を繰り返し、合間に殺害するための包丁2本を購入します。
4回目の下見で女性の不在を確認。
購入した包丁2本に滑り止めや指紋の付着を防ぐ手袋を持ち、交際中に鍵番号からインターネットで勝手に複製した合鍵で午後6時ごろ忍び込んだといいます。
クローゼットに潜み、女性が帰宅したところを飛び出して女性の胸や首を刺したといいます。
この時の心境を藤山被告は「迷いなく刺した。考えていた通りにできて達成感があった」と感情を表すことなく淡々と証言しました。
◆犯行後の行動
藤山被告は犯行後、合鍵を近くの川に遺棄。
帰宅すると持ち出した女性のスマホで男性との連絡履歴がないかチェックしたといいます。
包丁で首を刺すなどして自殺を試みた藤山被告は「辛い気持ちと殺害した事実から逃れられない」として警察に電話で自首。
しかし、犯行直後の取り調べで「女性からも抵抗されケガをした」などとウソの話をしたことを認めました。
◆今後の裁判
弁護人の質問に藤山被告は「被害女性は怖かったと思う。私の身勝手で命と未来を奪ってしまい申し訳ない。一生かけて償いたい。」と反省を述べた上で、「(自分を)異常と思う。精神的なカウンセリングを受けたい」と語りました。
裁判は犯行事実に争いはなく、弁護側は「後悔し反省を深めている」と主張しています。
刑の重さが焦点で13日に検察が求刑し、15日の午後、判決が言い渡されます。