五輪アルバム「自民予算で参考資料として作成」 機密費巡り馳知事

石川県の馳浩知事が東京オリンピックの招致活動で国際オリンピック委員会(IOC)委員に対して高額のアルバムを贈ったと講演で言及し、内閣官房報償費(機密費)の使用も示唆した問題で、馳氏は12日の県議会で、2013年当時の自身のブログに登場する「想(おも)い出アルバム作戦」について問われ、自民党の予算で参考資料としてアルバムを数冊作ったことを明らかにした。ただ、説明はブログの記述に関するもので、機密費使用を示唆した講演での発言との整合性については明らかにしなかった。
県議会一般質問での佐藤正幸県議(共産)への答弁。馳氏は「(当時)自民党の招致推進本部長として党の予算を使って招致活動をしていた」と説明し、想い出アルバム作戦について「参考資料として(アルバムを)数冊作成したことは事実」と述べた。
議会終了後の報道陣の取材でさらに追及された馳氏は、想い出アルバム作成の経緯について「五輪招致の狙いや意義を初めて会う人に伝えるため、お近づきになれる仕掛けが必要と考えた」と説明。IOC委員の選手時代などの写真を集めたアルバムを作成し配る想い出アルバム作戦を考えたが、「(作成費の)見積もりがとんでもない額になった。アルバムを渡すことはできない。(IOCの)ルールを順守することは必要。党本部の予算で、手持ちの参考資料として数冊作成した」と明かした。アルバムは、委員に会う際に見せて「あなたの活躍を私なりに調べてきた」とアピールするために使用したが、贈ってはいなかったといい、招致活動終了後党本部が処分したという。
馳氏は11月17日、東京都内であった講演でIOC委員への贈答品について言及。機密費の使用も示唆したが、同日中に「誤解を与えかねない不適切な発言であり、全面的に撤回する」とのコメントを発表した。以降記者会見などでは「撤回しており、五輪招致に関する発言はしない」と繰り返してきた。12日の県議会終了後の記者団の取材でも、今回明らかにした想い出アルバムとの関連性を問われたが、「(講演での発言は)全面撤回している」などとして、言及を避けた。【深尾昭寛】

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