宇都宮市東宿郷5の食肉加工卸会社「渡清」が、宇都宮白楊高の生徒が育てた「白楊豚」として高根沢町の道の駅に納入していた豚肉に、異なる豚を混入させて表示を偽っていたとして、栃木県は同社に対し、食品表示法に基づく行政指導を行った。【池田一生】
関係者によると、少なくとも2020年3月~23年10月に、同社が高根沢町上柏崎の道の駅「たかねざわ元気あっぷむら」へ白楊豚と表示して納入した肉のうち、約9300キロが異なる豚肉だった。施設内のレストランや直売所、通販サイトで取り扱っていた。
白楊豚は宇都宮白楊高の生徒が高根沢町内の農場で育てており、2017年に町が「白楊豚」と名付けている。10月上旬に外部の精肉業者から「白楊豚の供給量と消費量に不整合があるのではないか」と道の駅の指定管理者である塚原緑地研究所(千葉市)へ指摘があり、発覚した。同社は白楊豚の表示がある商品の販売を停止している。
表示を偽って出荷した理由について、渡清の報道対応の担当者は取材に「在庫不足の時に、別の県産豚に『白楊豚』のシールを貼り(道の駅へ)出してしまっていた。同等品以上の豚を出しており、利益を得るつもりではなかった。食品表示への認識が甘かった」と説明している。
県は同社の管理に不備があったとして、食品表示に関する責任の所在の明確化や、チェック態勢を定期的に検証するなどし、改善策を講じるよう、11月30日付で指導した。
高根沢町は2020年度から、白楊豚関連のふるさと納税返礼品として、詰め合わせなどを取り扱っていたが、問題発覚後に受け付けを停止。同年度以降にこれらの返礼品を求めて寄付をした人へ、希望する場合は寄付額を返金する対応を取る。同町の担当者は「道の駅と白楊豚の信用を回復するため、原因と責任を追及しなければならない。対応を検討している」とした。
塚原緑地研究所も渡清に賠償を求めることを検討しているという。
渡清の担当者は「宇都宮白楊高の生徒や関係者に大変な迷惑を掛け、おわびしたい。コンプライアンス(法令順守)を徹底し、一から出直したい」と話した。今後、同校を訪れて謝罪するほか、県へ再発防止策を提出するという。