パー券収入、議員へ還流 10年以上継続か 複数の安倍派秘書が証言

自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、最大派閥の清和政策研究会(安倍派)が10年以上前から、ノルマを超えたパーティー券収入を議員側にキックバック(還流)するシステムを続けていた疑いがあることが判明した。同派に所属している複数の議員秘書が毎日新聞に証言した。2000年代から続いていたとの情報もあり、東京地検特捜部も経緯を調べているとみられる。
政治資金規正法違反の不記載、虚偽記載の公訴時効は5年のため、特捜部の捜査は18年以降が中心となっている。この間に裏金化された総額は5億円に上るとされる。
一方、秘書らの証言によると、還流システムは18年より前から続いていた疑いが強く、より膨大な裏金が派閥から議員側に回っていた可能性が大きい。
安倍派(99人)では、パーティー券を購入した企業・団体に派閥の口座に代金を振り込んでもらったり、議員側が派閥の事務所に売上金を持参したりして、派閥に収入を報告。派閥側はノルマ分を差し引いた金額を議員側に戻していたとされる。
一連の資金の流れは派閥側、議員側いずれの政治資金収支報告書にも記載されていなかった疑いがある。
東京・永田町で国会議員の秘書歴が長いある中堅は取材に、約10年前に安倍派の所属議員の秘書だった頃から、ノルマ超過分の還流が派閥からあったと証言。別の安倍派議員からキックバックの仕組みを聞いたことをきっかけに、勤めていた事務所でも派閥のパーティー券を大量に企業・団体に売りさばくようになったとした。
また、別の安倍派のベテラン秘書は取材に「正確な経緯や時期は分からない」とした上で、00年代からノルマ超過分を議員側に戻す仕組みがあった可能性を示唆した。
特捜部は、還流資金の流れが記載された派閥側作成のリストを入手し、裏金化が疑われる議員本人や秘書らから任意の事情聴取を進めている。派閥の事務を取り仕切る歴代事務総長や他の幹部へと聴取の対象を広げていく方針とみられる。【志村一也、長屋美乃里、高良駿輔、北村秀徳】

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