政府は20日、デジタル行財政改革会議(議長・岸田文雄首相)を首相官邸で開き、中間報告をまとめた。道路運送法で原則禁じられている一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ「ライドシェア」については、タクシーが不足する地域や時間帯に限り、タクシー会社の運行管理の下で来年4月から一部解禁。都市部や観光地などでタクシー不足解消を図る。
今年度中にライドシェア導入に向けた新制度を創設。タクシー配車アプリのデータに基づき、タクシーが不足する地域や時間帯を特定し、一般ドライバーを活用できるようにする。安全性確保や事故時の補償に関する懸念を踏まえ、車両整備や運行に関する管理、ドライバー教育、運送責任はタクシー会社が担う。全面解禁に向けた法整備の議論も行うと明記。来年6月に結論を出す考えだ。
首相は会議で「施策の効果を検証しつつ、タクシー事業者以外がライドシェアを行うことを位置付ける法制度の議論を開始する」と表明した。
交通手段の確保が困難な過疎地で、自治体やNPO法人に限定して有料の送迎を認めている現行の「自家用有償旅客運送」制度も拡充。国土交通省は現在、要件の目安に「半径1キロ以内にバス停・駅がない地域」などを掲げるが、タクシーが不足する夜間も加える。運転手の確保のため、タクシーの約半分としていた運賃の目安を約8割まで引き上げる。
タクシーの規制も緩和する。一部地域で運転手登録の際に課されている地理試験を今年度中に廃止。運転手に義務付けられる10日間の研修要件も今年度中に見直す。
[時事通信社]