維新にも疑惑の目だ。最大派閥・安倍派の政治資金パーティー裏金疑惑に自民党が大揺れの一方、維新にも裏金疑惑が浮上し、刑事告発されていた。この過去がネット上の注目を集めている。
発端は2019年9月、大阪のリーガロイヤルホテルで開催された政治資金パーティー「大阪維新の会 懇親会」。松井一郎前大阪市長が大阪維新の代表を務めていたころだ。
19年分の大阪維新の政治資金収支報告書(翌年公開)によれば、「懇親会」の収入は参加者5862人に対し、1億1724万円。参加費用は1人あたり2万円だった。
ホテルのHPによれば、懇親会の会場「光淋の間」の収容規模は最大2000人。収容可能人数の3倍近くが詰めかけたとは、何とも不自然である。
不審な点は他にもある。日本維新の会の音喜多駿政調会長が懇親会開催の翌日、自身のブログにこうつづっていたのだ。
〈大阪維新の会・懇親会について改めての所感をまとめておきたいと思います。とにかく人・人・人!という感じで、今年の来場者は3000名を超えて約4000名いたそうな…。チケットの番号は10000までありましたから、来場者数の3倍以上チケット購入者がいそうですね〉
この内容を収支報告書に照らすと、まるで整合性が取れない。
不起訴決着も整合性は取れず
音喜多氏の記述通り、参加者が4000人だったならば、収入は約8000万円。収支報告書に記載された1億1724万円とは約3700万円の開きがある。一方、チケットの番号が1万まで振られ、購入者が〈来場者数の3倍以上〉いたならば、収入は少なくとも約2億円(2万円×1万枚)に上る。収支報告書の収入金額との差額は約8200万円だ。まさか裏金化したのか。
こうした不審点をまとめ、当時、維新の代表だった松井氏を刑事告発したのが、自民党の裏金疑惑の端緒を開いた神戸学院大教授の上脇博之氏だった。改めて上脇氏に聞いた。
「音喜多氏がブログに書いている内容と収支報告書の整合性が取れなかったため、政治資金規正法違反で昨年9月末に大阪地検に告発しました。告発状は受理されましたが、結果は不起訴。検察審査会に申し立てたものの、結果は覆らず。しかし、整合性が取れていないことには変わりありません」
音喜多事務所にブログの内容について真意を尋ねたが、期限までに回答はなかった。きちんと説明すれば、痛くもない腹を探られることもあるまい。