自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化していたとされる事件で、同派事務総長ら幹部が2022年のパーティー開催前、議員側へのキックバック(還流)の廃止を決定していたことが24日、関係者への取材で分かった。その後、決定は撤回され、前年までと同様に還流があったという。
東京地検特捜部が同日、同派座長の塩谷立・元文部科学相から任意で事情聴取したことも判明。22年に決定が撤回され、従来通り還流されることになった経緯などを確認したとみられる。
特捜部は同派幹部らが裏金化の仕組みを把握した上で是正を図ろうとした可能性もあるとみて、他の幹部にも任意で事情を聴き、認識などの確認を進める。
関係者によると、安倍派では派閥のパーティー券について所属議員の当選回数や役職によって販売のノルマが設けられ、それを超えて売った収入を議員側に還流させていた。ノルマ超過分は派閥や議員側の政治資金収支報告書に記載せず、裏金化していた疑いがある。
同派は22年5月のパーティー開催前、ノルマ超過分の還流を取りやめる方針を決め、議員側への周知を進めた。しかし、議員側から反発の声が上がったことなどから数カ月後には撤回され、従来通り還流する運用になったという。
同派の複数の議員秘書は任意聴取に、「派閥の指示で収支報告書に記載しなかった」「収支報告書への記載義務がない政策活動費なので記載の必要はないと言われた」などと説明。派閥の会計責任者は、還流や収支報告書の不記載を認める供述をしているとされる。
特捜部は還流による裏金化が派閥主導で組織的に行われた疑いがあるとみて、派閥内の指示系統や幹部らの認識について調べを進めている。
[時事通信社]