自民派閥の裏金事件 同党が強行成立させた「共謀罪」の適用を望む声が急拡大する理由

自民党の派閥が政治資金パーティーで裏金を作っていたとされる政治資金規正法違反事件。東京地検特捜部は、最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)の座長を務める塩谷立元文部科学相(73)や、事務総長経験者の松野博一前官房長官(61)、高木毅前党国対委員長(67)のほか、世耕弘成前党参院幹事長(61)の4人の幹部から任意で事情を聴いているという。
そろって政治資金規正法違反(不記載、虚偽記載)容疑で刑事告発されているため、会計責任者との共謀が認められれば立件対象になる可能性が高い。一部報道によると、塩谷、松野、高木の3氏はいずれも、会計責任者との共謀を否定している、というのだが、こうしたニュースに対して、ネット上で見られるのが《これこそ共謀罪を適用する時だろう》《自民党が強行成立させた共謀罪の法律を使え》といった投稿だ。
「共謀罪」とは2017年6月に成立した改正組織犯罪処罰法に盛り込まれた「テロ等準備罪」のことだ。犯罪が実行される準備の段階で逮捕・処罰が可能なため、当時、「内心の自由を脅かす」「監視社会につながる」といった意見が相次ぎ、国民から反対の声が続出。ところが、安倍政権は参院法務委員会の採決を省略するという異例の「中間報告」で強行成立させてしまった。
■国民の多くが今回の事件について「検察はあらゆる法律を講じて罰してほしい」と怒っている
この法律の条文をみると、目的として「組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害し、及び犯罪による収益がこの種の犯罪を助長する」(以下略)などの行為を処罰する、とあり、さらに法律が規定する「団体」とは、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう)により反復して行われるものをいう」とある。
そして「犯罪収益」として、「財産上の不正な利益を得る目的で犯した次に掲げる罪の犯罪行為(略)により生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬として得た財産」などと規定している。
つまり、今回の自民党派閥パーティーの事件は「テロ等準備」ではないものの、指揮命令に基づく団体(派閥)が組織的犯罪(裏金作り)を実行、あるいは準備していたのだから、組織犯罪処罰法の対象になるのではないか――という意見のようだ。
《組織犯罪でしょ。これって。販売ノルマがあって、裏金にしていたんだから。どんなに否定しても共謀罪だよ》
《安倍政権が強引に成立させた共謀罪が自分たちに大ブーメラン(笑)》
おそらく組織犯罪処罰法が適用される可能性は低いだろうが、ハッキリしたことは、それだけ国民の多くが今回の事件について「検察はあらゆる法律を講じて罰してほしい」と怒っているということだろう。

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