地震の甚大な被害が残る石川県輪島市では、10日午前から昼すぎにかけて冷たい雨が降り、強風が吹き荒れる悪天候に見舞われた。連日の寒さに耐えながら避難生活を送る被災者からは「早く仮設住宅に入りたい」といった声が上がった。
妻と車中泊を続ける出坂和仁さん(62)は「家族同然のシバイヌを飼っているので、他の避難者に配慮して1週間ほど車中泊を続けている」と話す。「自宅は倒壊したので、仮設住宅など住むところを確保しないとどうにもならない」と訴えた。
海産物の加工販売業を営む男性(65)は「人の目が気になって車中泊を続けているが、足を伸ばせず、寒さも厳しい」と顔をしかめる。「早く仮設住宅に入りたいが、自分が入れるのはだいぶ先になるだろう」と諦めたように語った。
市内の中学校に避難する美容師の女性(74)は「多目的室で30~40人ほどが生活している。みんなで気遣いながら生活しているが、夜はあまり眠れない」と疲れを見せる。県外に住む娘夫婦からは自分たちの家に来るよう誘われたが、「故郷の輪島市を離れたくない。地元で美容院を再開したい気持ちもある」と話した。
火災で多くの建物が焼失した観光名所「朝市通り」では、この日も大規模な行方不明者の捜索が行われた。午前10時ごろから警察や消防、自衛隊ががれきをどかしたり、地面を掘り起こしたりしていた。
[時事通信社]