側溝に入って女性のスカート内をのぞき見るなどしたとして、性的姿態撮影処罰法違反などの罪に問われた神戸市東灘区の無職の男(36)の論告求刑公判が10日、神戸地裁(荒金慎哉裁判官)で開かれた。検察側は、常習性が顕著で犯行態様は悪質として懲役1年6月を求刑。弁護側は罰金刑か執行猶予付き判決が相当と主張し結審した。判決は26日に言い渡される。
公判によると、男は昨年12月に保釈後、入院。再犯防止のための治療が行われ、主治医や精神保健福祉士ら専門家による支援計画も立てられているという。
検察側は論告の中で「通行人がまさか側溝内に人が潜んでいるとは思わないのを奇貨として、入れ食い状態でのぞき見る犯行手口は大胆で卑劣」と指摘。「支援計画の実効性には疑問がある」とし、「刑事責任の重さを自覚させるため厳しい処罰が必要」と断じた。
一方、弁護側は、男が心から反省し、包括的な支援計画も始まったばかりで、社会の中で更生の道筋をつけるべきだと主張した。
この日は、証人尋問や被告人質問も行われ、男の母親らが出廷。母親は「子供の頃から家族や近所の人に優しく、どうしてこうなってしまったのか、育て方に責任を感じている。見放すつもりはない」と訴えた。
被告人質問では、男が犯行動機について「性的欲求を満たすためだった」と明かし、「やめようと思ったが、自分の意志の弱さから我慢できなかった」と説明。「被害女性に申し訳ない気持ちでいっぱい。不適切な行動なのでやめたい」と反省の言葉も口にした。
起訴状などによると、男は昨年9月8日、神戸市東灘区の側溝にスマホを設置し、通行人12人のスカート内の下着を撮影。同8~14日の間、3度にわたって同区の側溝に入り、スカート内をのぞき見るなどしたとしている。この間に少なくとも計約110人のスカートをはいた女性が側溝上を通行していた。