能登半島地震は死者が200人を超え、このうち建物倒壊や津波などによる「直接死」が10日午後2時時点で198人に上り、平成7年の阪神大震災以降、3番目に直接死の多い地震災害となったことが、石川県のまとめで分かった。なぜ被害が急増しているのか。木造家屋に被害が出やすい地震波「キラーパルス」が観測されており、家屋倒壊による圧死が死因の大半とみられているほか、過疎地域での被災や正月の帰省と重なったことなどが指摘されている。
阪神大震災以降、災害を直接の原因とする死者が最も多いのは23年の東日本大震災で1万8423人(行方不明者を含む)。死因は津波による溺死が大半だった。次が阪神大震災の5516人で、家屋倒壊による窒息や圧死が多かった。
今回の能登半島地震の死者の死因はまだ示されていないが、10日午後2時時点で全体の4割に当たる83人の死亡が確認された石川県輪島市の坂口茂市長は3日、「倒壊した家屋での圧死が感覚として多い」と説明した。専門家も「古い木造家屋が多く、家屋倒壊による死者がほとんどではないか」とみている。
今回の地震では、揺れの周期が1~2秒で、ゆさゆさと揺れて木造家屋に大きな被害をもたらすことで知られる地震波、キラーパルスが観測されている。阪神でも記録されたこの地震波が、木造家屋が多い地域の被害拡大につながったとみられている。
また、被災地が過疎地域で孤立集落へのアクセスが難しい上、地震発生が元日のため帰省していた人々が巻き込まれた可能性があり、安否確認や被害の全容把握を困難にしている。
救助活動が難航する中、人的被害はさらに増える恐れがある上、厳寒期の避難所などでは今後、直接死を免れた人々の「災害関連死」の増加も懸念されている。
阪神大震災以降の主な地震による直接死の数
平成7年 阪神大震災 5516人
16年 新潟県中越地震 16人
19年 能登半島地震 1人
20年 岩手・宮城内陸地震 23人
23年 東日本大震災 1万8423人
28年 熊本地震 50人
30年 北海道地震 41人
※行方不明者含む。警察庁、内閣府などによる