能登被災地に全国から応援職員「バックアップしたい」…地元自治体職員、疲労はピーク

最大震度7を観測した能登半島地震では、自治体職員の多くも被災した。行政機能の低下が懸念される中、避難所運営や 罹災 証明書の申請受け付けなど業務が山積し、疲労はピークに達しつつある。被災地を支えようと、全国の自治体から応援職員が続々と駆けつけている。
「全く終わりが見えない」。石川県輪島市立輪島中学校で、2日から避難所運営にあたる市立保育所の女性保育士(46)は、疲れ切った表情を浮かべる。この避難所には約900人が身を寄せており、女性保育士も自宅が損壊し、避難している。朝から避難者に対応し、夜は駐車場で車中泊と、休まらない日々が続く。
同市では地震直後、約280人の職員のうち、登庁できたのは2、3割程度。孤立集落に自宅があって今も登庁できない職員もいる。
こうした中、被災自治体に県外から職員を派遣して業務をサポートする 対口 支援が始まっている。県によると、被災14市町に都道府県と市の計40自治体から計約750人の派遣が決まっており、8日時点で357人が派遣されている。
珠洲 市には千葉市や浜松市など8県市の職員が入る。避難所の一つ、飯田小学校では10日朝、福井県などから派遣された職員3人が、仮設風呂の案内板を設置していた。3人は被災者の要望を市に伝えたり、必要な備品を調達したりと、避難所の運営を支援している。同県魅力創造課の帰山幸大さん(45)は、東日本大震災で福島県内の避難所を回り、被災者支援にあたった経験を持つ。「皆さん大変な状況だが、しっかりバックアップしたい」と話した。
珠洲市の加賀真樹総務課長は市職員約200人では完全にマンパワー不足とし、「東日本大震災や熊本地震の被災地支援など、我々にはないスキルや経験を持った人たちに集まってもらい、心強い」と語る。
七尾市を支援する名古屋市は、上下水道局の職員が3日に入り、断水が続く地域で給水車を走らせている。水道管の漏水箇所の確認なども行っており、同局管路部の坂倉満主幹(54)は「一刻も早く水を供給できる体制を整えたい」と話す。
また、2016年の熊本地震で甚大な被害があった熊本県 益城 町も10日、石川県志賀町に職員2人を派遣した。熊本地震で培ったがれきの処理や家屋の解体業務の経験を現地で生かすという。

◆対口支援=「対口」は中国語で「ペア」を意味し、中国政府が2008年の四川大地震の際、沿岸部の省・直轄市を被害県・市に割り振り、支援させた仕組みを導入した。日本では18年3月に国が制度化し、同年7月の西日本豪雨で初めて運用された。カウンターパート方式とも呼ばれ、支援する自治体が、担当する被災市区町村を定めることで責任を明確化するとともに、ニーズに応じた継続的支援を期待できる。

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