「尊い命が失われたことは命でも償えない」。甲府地裁で死刑が言い渡された遠藤裕喜被告(21)の裁判員裁判で、裁判員を務めた男女4人が18日の判決後に記者会見し、判決や被告への思いを語った。
補充裁判員を務めた公務員の男性(31)は事件当時の遠藤被告の年齢について、「19歳は大人にも子供にも見える。判断が難しかった」と話す。判決言い渡しの際には「涙が出てきた」といい、「尊い命が失われたことは命でも償えない。せめてやってしまったことに真摯(しんし)に向き合ってほしい」と希望した。
三上潤裁判長が判決理由を読み上げた際には、遠藤被告が目元を拭う場面もあり、60代の裁判員は「生い立ちの話をされるたびに涙を流す姿を見て、本当につらかったんだろうと思った」と同情を寄せた。一方、裁判員の会社員男性(66)は「被害者や遺族について話す時は無表情なのに、自分のこととなると涙を見せた。その涙をどうして被害者に向けられないのか、今も不思議」と首をひねった。
補充裁判員の女子大学生(21)は「チームでたくさんの時間を積み重ねて刑を決めた。今後はこんな事件が二度と起こらないことを一番に願っている」と話した。
[時事通信社]