群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」にある朝鮮人追悼碑を群馬県が29日から行政代執行で撤去することに対し、社民党は25日、福島瑞穂党首の名で再考を求める要請文を山本一太知事宛てに提出した。同日午前、県庁を訪れ要請文を提出した服部良一幹事長は会見し、「代執行には多くの問題点があり執行すべきではない」などと語った。
具体的には、①追悼碑建立は群馬県議会が趣旨を理解し平成13年に全会一致で採択した②「強制連行」という言葉の使用が政治的発言で県との事前の約束に反したというが、戦時中の朝鮮人労務動員の一部が強制的だったことは史実に基づいている③代執行という今回の行為が韓国との外交関係にも懸念が生じている-の3点を挙げた。
追悼碑をめぐっては平成16年、市民団体が「政治的行事を行わない」との条件付きで設置したが、式典で出席者が「強制連行の事実を訴えたい」などと発言。県は条件に反したとして更新を認めず、市民団体が不許可処分取り消しなどを求め訴訟となり、2審東京高裁は「式で『強制連行』という文言を含む政治的発言があり、碑は中立的性格を失った」とし同会の請求を棄却。令和4年6月、最高裁は市民団体の上告を棄却し、高裁判決が確定した。
これを受け県は碑の撤去と原状回復を命じたが、協議は平行線をたどり、市民団体側が新たな訴訟を起こすなどしたことから、県は行政代執行により撤去する方針を伝えた。