群馬県立公園の朝鮮人追悼碑、29日に撤去工事 中止求める声も

群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」にある朝鮮人労働者追悼碑について、県は29日、行政代執行による撤去工事に着手する。公園は28日夕から休園する予定で、追悼碑には「撤去反対」などと書かれた紙などが置かれ、公園入り口に工事を予告する看板が設置された。
追悼碑は2004年、市民団体が県の許可を得て設置した。その後、団体が開いた追悼式典で出席者が「強制連行」などの言葉を使ったため、県は14年、政治的行事を行わないとの条件に反したとして許可を更新しなかった。県の処分の適法性を争った訴訟は22年6月、最高裁で県の勝訴が確定した。
裁判資料などによると、碑の建設費用は570万円。直径約7メートルの円形の台座の上に、高さ約2メートル、幅約5メートルの碑文壁、高さ約4メートルの塔などが建つ。県は代執行を通知する19日付の書面で撤去費用を約3000万円と見積もり、市民団体に請求する方針。
撤去中止を求める意見も相次ぐ。東京都在住の女性芸術家2人は26日、中止を求める要望書とSNS(ネット交流サービス)で集めた4317人分の署名を県に提出した。
24~26日にSNSで賛同者を募った。約800人が芸術家や小説家ら文化芸術の関係者という。要望書は「県の行政代執行は憲法で保障されている『表現の自由』の重大な侵害。市民の表現の自由に圧力をかけ、歴史的事実の継承を閉ざすもの」などと指摘している。
日本キリスト教団群馬地区も26日、「歴史において起こった事実をなかったことにしてしまう」として撤去の撤回を求める声明を出した。【西本龍太朗、庄司哲也】

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