復興見据えたがれき処理、日本に学べ…ウクライナの視察団が東日本大震災の被災地など視察

ロシアの攻撃で街の破壊が続くウクライナの政府や自治体の職員が来日し、がれきの撤去・処理技術を学んでいる。2月9日までの滞在期間中、廃棄物処理の現場や東日本大震災の被災地を視察し、戦後復興に活用するという。
破壊21万か所

研修は、人道支援を担う国際協力機構(JICA)が企画し、ウクライナ政府や、ハルキウ、ヘルソンなど自治体の廃棄物処理担当者計8人が参加している。29日午前は千葉県柏市の建設廃材処理工場を訪れ、コンクリートやアスファルトの破片を粉砕し、鉄筋など金属類を抜き取る作業を見学した。
ウクライナ復興庁によると、ロシアの侵略開始以降、学校や病院、道路など約21万か所が破壊された。多くのがれきは放置され、復旧できたのは2割弱にとどまる。キーウなどではJICAから提供された重機約30台を使って、がれきの撤去作業が進んでおり、順次、全土に広げていく計画だという。
宮城・福島訪問

日本では2011年の東日本大震災の際、約3100万トンのがれきが発生したが、約8割は土木資材などにリサイクルのうえ、再利用された。
ウクライナはロシアの侵略以前から、がれきのほとんどを埋め立て処分しており、日本政府は今回の研修で、がれきの撤去からリサイクルまで一連の処理技術を伝え、復興を後押ししたい考えだ。
8人は30日以降、宮城県石巻市や仙台市を訪れ、東日本大震災の復興状況を視察するほか、福島県大熊町の廃棄物仮置き場を見学する。ウクライナ地方・国土・インフラ発展省のコストロフ・イリア主任専門官は「日本が災害を通じて蓄積した技術と経験は世界トップレベルだ。技術面だけでなく法律など制度面も参考にして母国の復興に生かしたい」と話した。

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