“政治とカネ”の行方は… 野党“裏金議員リスト”作成求める 総理「裏金調査チーム」立ち上げへ【news23】

自民党の裏金事件を受け29日、国会では「政治とカネ」をめぐり論戦が行われました。「なぜ裏金が必要だったのか」「裏金議員の一覧を出して」など野党からの追及に岸田総理の答えは…
岸田総理「(収支報告書の訂正等は)清和会(安倍派)で30人以上、そして志帥会(二階派)で7名」
2024年1月29日、総理の施政方針演説より先に「政治とカネ」の集中審議が行われるという異例の国会。
“裏金問題”をめぐり、追及が続きました。
立憲民主党大西健介衆院議員「本質は派閥じゃないんです。まず裏金問題の全容を明らかにすることが私は先決だと思います。一体、何人がこの裏金を受け取ったのか、総理、まずそれを答えてください」
岸田総理「裏金ということの定義、これもしっかり確認しなければなりませんが、今、現状で、政治資金収支報告書の訂正等を明らかにしている議員、清和会(安倍派)で30名以上、そして志帥会(二階派)で7名」
明確な人数を答えない岸田総理に対し、野党は、裏金を受け取った議員の調査を強く求めました。
立憲民主党山井和則衆院議員「私やマスコミが“裏金議員”の一覧表をなぜ作らないとダメなんですか。この全容解明の責任は、岸田総理にあるんじゃないですか。1丁目1番地は全容解明だし、国民のみなさまに対して、~議員はいわゆる裏金がありましたということを、説明して、使途も公開する」
岸田総理「党として説明責任、そして政治責任、これを果たすためにどうあるべきなのか、聞き取り調査を進めてまいります」
立憲民主党山井和則衆院議員「(旧)統一教会のときにやったじゃないですか。各議員に(旧)統一教会との関係どうでしたかって。なぜ同じことを今回しないんですか。出来ないんですか」
出席議員のヤジ「総理のやる気の問題だ」
政治家本人も責任を負う「連座制」の導入検討の考えを示すも…
今国会の焦点のひとつは「政治資金規正法の改正」です。“抜け道”の多さが指摘される中、岸田総理は…
岸田総理「厳正な責任体制を確立するという観点から『連座制』も含めて、党として考え方をまとめ、そして各党ともしっかり議論を行っていきたいと考えております」
違法な会計処理があった場合、政治家本人も責任を負う「連座制」の導入を検討する考えを示しました。
また、“キックバックの隠れ蓑”と指摘され、政党から議員個人に支払われる「政策活動費」の透明化も論点となりました。
立憲民主党階猛衆院議員「2022年の1年間だけで、自民党では党幹部15人に対し、(政策活動費)14億円以上が支払われています。二階俊博議員にはなんと50億円を超える政策活動費が渡されている。使い道を全く明らかにしなくていいというのは常識外れですよ」
野党は、岸田総理に対し、政策活動費の廃止を何度も要求しますが…
岸田総理「政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中で、あるべき結論を出さなければなりません」「政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中で…」「政治活動の自由と国民の知る権利のバランス…」
こう繰り返し、早期の透明化には慎重な姿勢をにじませました。
その上で、自民党の政治刷新本部で議論されている政治改革案の最終取りまとめの時期を問われ…
岸田総理「政治改革に終わりはないという言葉を申し上げました。議論を続けます」
総理が発言した“議論”に「議論する場なのに」
小川彩佳キャスター:国会論戦を見て、パックンは注目した答弁があったそうですね。
パトリック・ハーランさん:(岸田総理からの)「議論」という単語がとても目立ちました。一つ例を挙げると、政策活動費の廃止について岸田総理は「政治資金の透明性に関わる議論、法改正の議論、これは重要な議論、こうした議論、政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中で、議論を行うことについて、党としても、真摯に議論していきたい」(日本維新の会藤田幹事長への答弁)とおっしゃってます。
これは予算委員会で、議論している場です。議論する場なのに、議論する必要性についてだけ語っているんです。
小川キャスター:議論する場で、議論する必要性について語っていると。
パトリック・ハーランさん:そうです。最後の方を見てください。「議論を行うことについて、党としても、真摯に議論していきたい」。なので、すごくフラストレーションが溜まってました。
岸田さんは、総理大臣という肩書き、党首・総裁という肩書き、その両方をお持ちの方なんですけど、この答弁はどちらの立場でしてるのか、すごく曖昧でした。党のために考えてるのか、それとも国民のために考えているのか、全くわからない。
考えたい、議論したいなどではなく、「私はこうやりたいです」、「こうするべきだと思います」、「それよりも、こうします」という断言するような議論が聞きたかったなと。
議論という単語が登場しない議論を聞きたかったなと思います。
森山総務会長を中心に調査チーム立ち上げへ 裏金議員リスト公表なるか
藤森祥平キャスター:
〈集中審議の争点〉・裏金議員のリスト公表・政治資金規正法の改正(連座制の導入など)・政策活動費の透明化・廃止
改めて、集中審議の焦点になっているポイントは3つですね。
今回は「裏金議員のリスト公表」について。立憲民主党の山井和則議員から「一丁目一番地は全容解明。裏金議員のリスト出して」などと、一覧を出すように求めましたが、岸田総理からは、「できるだけ全容把握を急ぐべく党として努力」とありました。
政治刷新本部ができて、動き始めていて、まだその段階なのかと驚きました。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:ただ、前の週までは自民党の派閥を解散するかしないかと、派閥問題に何となくすり替えられてましたけど、今日(1月29日)からようやく裏金問題の全容解明というところに戻ってきたので、それは良かったと思いますね。
どうも私の聞いたところでは、岸田さんは自民党として、森山裕総務会長を中心に調査チームを立ち上げて、弁護士や元検事などの専門家を入れてヒアリングをしようということで、金額がどのくらいだったのか、どう処理したのか、どういう経緯だったか、それから何に使ったのか、こういうことを関係者にヒアリングするそうです。
全体としておそらく100人規模に上ってくるので、そのリストを作るそうです。それを果たして公開するかしないかというのは、これから問題になると思います。
小川キャスター:岸田総理が公開に踏み切るのかどうかについて、どう思いますか。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:おそらく野党側は絶対公開しろ、公開しないと予算審議に応じないなど、いろいろ交渉があるでしょうから、最終的には公開せざるを得なくなってくると思います。
公開すれば、その中で例えば「この人はどういう狙いでやったのか」というのを証人喚問や参考人招致など、そういうことになってくるので、どんどん問題はさらに膨らんでいくだろうと。
藤森キャスター:公開されなかったら意味ないですよね。
小川キャスター:旧統一教会との関係を調べる調査もリストが公表されたわけですよね。
ただ、仮にこのリストが公開されたとして、今度はそれが実態を映したものになるのかどうかも考えていかなければならないですね。
パトリック・ハーランさん:今回、予算委員会がこの問題にすごく集中していることを、皆さんが注目してるのはいいかと思うんですが、実は今回が初めてじゃないんですよね。2023年11月にも、予算委員会で同じ問題が取り上げられて、そのとき、(当時の)松野官房長官は「適切な対応をなされてる」とおっしゃってます。
ということは、この2か月の間に100人くらいのリストは作れたのではないかと思うんですよ。今回の予算委員会で、「特別委員会の設置を進めます」、「証人喚問にこの方々を呼びます」などの結果発表があってもおかしくないのに、これからなんだと。
小川キャスター:「まだここなんだ」というところですよね。
パトリック・ハーランさん:やっとスタートラインに立っただけなのか、と少し呆れてる国民も多いのではないかと思います。
小川キャスター:その他にも、連座制の導入や政策活動費の透明化などについても見ていかなければならないと。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:特に政策活動費の問題は、使い道が全くはっきりしないというお金が何十億とあるわけなので、これもどうするのかというのは大きな問題になってくると思いますね。
藤森キャスター:本質にたどり着くには避けて通れないところですからね。
国会で与野党の論戦スタート「みんなの声」は
NEWSDIGアプリでは『政治とカネ』などについて「みんなの声」を募集しました。
Q.「政治とカネ」国会で与野党の論戦スタートどう思う?「評価する」…3.8%「実態解明を優先すべき」…61.4%「総理が責任を取るべき」…33.6%「その他・分からない」…1.2%
※1月29日午後11時23分時点※統計学的手法に基づく世論調査ではありません※動画内で紹介したアンケートは30日午前8時で終了しました。

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