日本維新の会を創設した橋下徹・元大阪府知事が、れいわ新選組・大石晃子共同代表(衆院議員)へのインタビュー記事で名誉を毀損(きそん)されたとして、記事を掲載した日刊現代(東京)と大石氏に計300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁であった。小川嘉基裁判長は「大石氏の発言は真実であり、不法行為は成立しない」として請求を棄却した。
判決によると、日刊現代は2021年12月、政治家時代の橋下氏の報道対応について大石氏が「気に入らないマスコミをしばき、気に入らない記者は袋だたきにする」「あめとムチでマスコミをDV(ドメスティックバイオレンス)して服従させていた」と話すインタビュー記事を「日刊ゲンダイデジタル」などに掲載した。
小川裁判長は、橋下氏が自らの意に沿わない報道や質問をした記者を繰り返し批判し、取材を受けない可能性を示唆していたと指摘。「大石氏の発言は橋下氏の社会的評価を低下させる」としつつ、「重要な部分について真実であり、意見や論評の域を出ないため、違法性を欠く」と結論付けた。
橋下氏は15年に政界を引退し、現在は弁護士やコメンテーターとして活動している。
大石氏は元府職員。職員時代の08年、給与削減など公務員改革を進めようとする当時の橋下知事に対し、「あなたは労働者をバラバラにするようなことばかり言っている」と面前で抗議したことで知られる。
判決後、大石氏は「首長は自分のやってきたことを検証されるのは当たり前。橋下さんには真摯(しんし)に受け止めてもらいたい」とし、橋下氏の事務所は「コメントは出さない」としている。【安元久美子】