救命士らに対する医師のパワハラ3件認定 鳥取県立中央病院

鳥取市など1市4町の救急搬送を担当する鳥取県東部広域行政管理組合消防局が、県立中央病院救命救急センターの複数の医師から「パワハラ的言動を受けた」として調査を申し入れた問題で、中央病院は1日、消防局に回答を提出した。調査対象の22件のうち、同じ医師による3件について「パワハラがあった」と認定し、さらに3件を「パワハラの恐れがある」と結論づけた。残る16件のうち13件は「事実はあったようだが確認できず、判断できない」とし、3件は「事実ではない」とした。
中央病院の廣岡保明院長と中川善博事務局長、県病院局の竹内和久局長が県庁で記者会見して、回答内容を説明した。パワハラと認定した3件は、救急救命士の処置について高圧的に批判したり、患者の容体や氏名、生年月日などを連絡する電話を一方的に切ったりするなどの行為。
うち1件は、2022年10月の搬送事案で、受け入れ要請を巡る電話でのやりとりだった。医師が「今回のような傷病者であれば、直近の病院を交渉するべきで、受診歴がある程度で救命センターに電話をすることは問題」などと発言。さらに「そんなことも助言を受けないと判断できないことが問題だ」「検証して勝てると思っているのか」と発言したとされる。
病院幹部の聞き取り調査に対し、医師は「覚えていない」などと述べたが、電話の録音を確認したところ、「挙げちゃいますよ、検証で」などと発言していたことが判明。「全体を通して執拗(しつよう)で口調も高圧的」として、パワハラ行為に該当すると判断した。
また、「パワハラの恐れ」とした3件は、救急隊員に対する高圧的、威圧的な言動が中心。うち1件は、22年8月、病院のホットラインに熱中症の患者の受け入れを要請した際、救急隊員がホットラインの混雑を考慮して、2番目のホットラインにかけたことについてだった。救急隊員が「コロナ重症者も来ると聞いたので、気を使ってかけさせていただいた」と説明したのに対し、「勝手にルール変えないでくださいよ。おかしいですよね。医者に気を使うくらいなら、患者に気を使ってください」と発言したことを、「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」と認定した。
消防局は昨年末に退職した1人を含む医師4人の22件について調査を要請。今回、パワハラを認定された医師は17件が指摘されていた。廣岡院長は「技術の向上を願う指導のつもりでこのような発言になったようだ。指導を徹底し、再発防止に努める」などと説明。今後、病院局で一連の処分を検討する。今月下旬に予定されている県東部地区の救急医療懇談会でも事実関係を説明するという。【山田泰正、中尾卓英】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする