大阪府富田林市で2022年、自宅に置き去りにされた小野優陽(ゆうは)ちゃん(当時2歳)が熱中症で死亡した事件で、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた同居の祖母、小野真由美被告(47)の裁判員裁判が9日、大阪地裁堺支部であった。検察側は懲役9年を求刑し、弁護側は懲役5年6月が相当と主張して結審した。判決は16日。
優陽ちゃんは真由美被告の三男の長女。三男の家庭内暴力で20年1月から真由美被告に引き取られていた。真由美被告はこの日の最終意見陳述で「優陽に可哀そうなことをし、ごめんなさいと謝りたい。一人の人間として、いけないことをしてしまった」と涙ながらに謝罪した。
起訴状などによると、真由美被告は内縁関係にあった桃田(ももだ)貴徳被告(52)=1審で懲役6年、控訴=と共謀。22年6月27~29日、自宅で優陽ちゃんの手足を粘着テープで縛ったうえ、四方を板張りにしてふたを付けたベビーサークルに放置し、熱中症で死亡させたとされる。この間、両被告は2人の長男(7)を連れて外泊し、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)に行っていた。
検察側は論告で、緊縛やベビーサークルでの放置は21年5月ごろから行われていたと指摘。「長期にわたり繰り返された虐待の結果で、死亡は起こるべくして起きた悲劇」と強調した。
弁護側は罪の成立は争わない一方、異物を口に入れるなどする優陽ちゃんの養育に真由美被告が悩んでいたと主張。相談を受けていた市などの支援機関にも責任があり、量刑面で考慮すべきだと訴えた。【高木香奈、鈴木拓也】