献体無断で火葬し遺骨放置 兵庫医科大に150万円賠償命じる 神戸地裁

兵庫医科大(兵庫県西宮市)が解剖実習用に提供を受けた遺体(献体)を無断で火葬したにもかかわらず、6年半にわたり遺族への連絡を怠ったことで精神的苦痛を受けたとして、兵庫県宝塚市の遺族の女性(66)が大学を相手取り、1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は27日、大学に150万円の賠償を命じた。
判決などによると、女性の父である高橋純一さんは平成26年2月、肺気腫のため82歳で死亡。生前の希望で大学に献体として送られ、27年1~3月、解剖実習に使用された。その後火葬されたが、事前に取り決めていた遺族への連絡はなかったという。
女性が令和3年10月、大学側に確認し問題が発覚。大学側はデータの誤入力や職員間の引き継ぎにミスがあったとして謝罪した。女性は本人の遺骨かどうか確認が取れないとして遺骨を受け取っていない。
河本寿一裁判長は、遺骨の管理体制はずさんで、大学側の落ち度は低くないとした上で「精神的苦痛も軽視されるべきものではない」などと指摘し、大学に慰謝料として150万円を支払うよう命じた。
女性は判決後、記者会見し、「(大学には)医療の役に立ちたいと思っている人の気持ちを重視した管理、対応をしてもらいたい」と話した。兵庫医科大は「現時点で判決文が届いていないため、コメントは差し控える」としている。

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