商業施設などで盗撮行為の検挙が急増、目を光らせる保安員…階段上る時は「背後に注意」

商業施設など不特定多数が出入りする場所で下着などを盗撮する行為の検挙件数が長崎県内で増えている。新型コロナ禍が収束して人の流れが回復したことが背景にあるとみられ、県警は警戒を強めている。(野平貴)
県内の盗撮の検挙数は、2020年が17件、21年が18件だったが、コロナ禍での行動制限の緩和に伴い22年は26件に増え、23年は47件に急増。県警生活安全企画課は「盗撮は被害を認識しにくい犯罪であり、この数字も氷山の一角。今後も増加する可能性がある」とみている。
特に多いのが長崎市中心部だ。管轄する長崎署によると、検挙人数は21年は5人だったが、22年は15人、23年は20人と大幅に増えた。
過去10年の検挙場所は7割近くが商業施設内だった。保安員が目を光らせていることが検挙につながったとみられる。このほかの場所では、公共交通機関内が5%、路上が4%。長崎は急な坂や階段が多いため、段差を利用した犯行もあるという。

画像がネットで拡散されれば、「デジタルタトゥー」となって半永久的に残る危険性をはらむ盗撮。ちょっとした注意喚起が抑止力になることもある。
長崎署は、諏訪神社電停近くの地下道や階段で被害が増加したことから、「盗撮が多発!! 階段を上る時は背後に注意!」と書かれた貼り紙を掲示。現在のところ、同所で被害は出ていないという。高校生の利用が多いJR浦上駅ではエスカレーターの入り口付近に貼り紙が掲示されている。
盗撮はこれまで迷惑行為等防止条例など都道府県ごとの条例で禁止されてきたが、昨年7月に「性的姿態撮影処罰法」が施行され、統一的に取り締まれるようになり、盗撮行為のほか、画像の「提供」「保管」なども対象になった。
県条例では6月以下の懲役または50万円以下の罰金だった罰則も、新法では3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金と厳罰化。拘禁刑は懲役と禁錮の両刑を一元化した刑罰で、25年6月から施行される。それまでは懲役が適用される。
県警は法令についても周知していく方針。長崎署の金子龍太郎副署長は、「階段を上る時や、音楽や買い物に集中している時に被害に遭いやすい。できるだけ背後に気を付けるようにしてほしい」と注意を呼び掛けている。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする