岸田総理「次期戦闘機の第三国への輸出は重要」公明・山口代表は懸念示すも…裏金問題の裏で進む“密室の議論”の行方【news23】

政治とカネの問題の裏で進んでいた日英伊3か国で共同開発する「次期戦闘機」の取り扱い方をめぐり、岸田総理は「第三国への輸出は重要」との認識を示しました。「開発国以外には輸出できない」というこれまでの原則に反するもので、公明党の山口代表は懸念を示していますが「すでに輸出ありき」で事が進んでいるとの指摘も。議論の必要性は。
「次期戦闘機」日本が“第三国への輸出”可能に?
藤森祥平キャスター:4日の国会では「政治とカネ」の問題以外にも大事なテーマが取り上げられました。日本・イギリス・イタリアが共同開発する「次期戦闘機」の取り扱いについてです。
イギリス、イタリアは第三国に輸出ができますが、現行の日本の原則(防衛装備移転三原則)では、戦闘機などの完成品は「開発した国以外には輸出できない」ことになっています。
日本の場合、「次期戦闘機」のケースだとイギリス、イタリアにしか輸出できないということです。
実はこれまでに、自民党・公明党の実務者間では2023年までは“第三国への輸出”について「可能にしても良いのでは」という前向きな議論が進んでいました。岸田総理は国会で、「第三国への輸出は日本にとっても好ましい。安全保障環境を作る上でも重要」と話をしました。
ただ、公明党の山口代表は「次期戦闘機の第三国への輸出を無限定でやることになれば、あらゆる武器を輸出できるようになることにつながる懸念もある」と釘を刺している状況です。
公明・山口代表は非常に強硬姿勢
小川彩佳キャスター:2023年まで、自民・公明両党の実務者間では「輸出を可能にしていいのでは」という話になっていたんですね。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:先日、山口代表と話をする機会がありましたが、自民と公明とのワーキングチームではそれなりに積極的な意見も出たましたが、それは実務者だけで話すような話ではないので、山口さんとしては「そんなことは認められない」と現状では非常に強硬で、妥協する感じはなかったですね。
そもそも、これは戦闘機をいっぱい作れば安くなる。例えばイギリスはNATOや中東など、イタリアも東ヨーロッパなどに売れば安くなる。「日本も同じように東南アジアとかに売ってくれよ。そうすると、いっぱい作れるから安くなるんだ」という話で政府側も乗りかけているんですよね。
それから「アメリカ以外の国とも連携するのが大事なんだ」と言いますが、これはそんな簡単な話ではありませんし、実務者同士で決めるような話ではない、ということで、この問題の深刻さが明らかになってきたと思いますね。
「次期戦闘機」開発で日本側が“安請け合い”も?
藤森キャスター:イギリスのシャップス国防相は2023年12月のイギリス議会にて「このプログラムを成功させるためには、少なからず(防衛装備移転)三原則の変更が必要だとはっきり申し上げた」と発言をしています。
星浩さん:これが非常に怪しいのは、日本・イギリス・イタリアで一応条約作り、その際に日本側が“安請け合い”をしている可能性がある。「日本もいずれ輸出しますから」ということをイタリア・イギリスにほのめかしている可能性があるので、その辺はそれこそ国会で追及してもらいたいですし、どうやら既成事実だけが積み重なっていき、「日本も輸出ありき」ということでこの話を動かしてきた、という節があるので、ここはやはりきちんと立ち止まって議論すべきです。
そもそも日本国内でも、武器を売ってお金を儲けるのか、武器は売らないが世界から評価を得るのか。「どういう国の形を目指すのか」いろいろ議論があるはずなんです。
ですから自民党と公明党が密室で決めるような話ではないので、きちんと公開の場で日本の国の有り様を含めて議論してもらいたいと思いますね。
プチ鹿島さん:この転換はとても大事なことですよね。時系列で言うと、2023年末に閣議決定して国会の議論ってそんなしてないですよね。少子化の話も裏金の話もそうですが、なぜちゃんと表で議論してくれないんだろう。
星浩さん:まず条約だけ作って、どんどん既成事実を作って引っ込みがつきませんよ、という状況に今なりつつあるんですよね。
小川キャスター:これが「いつの間にか決まっていましたよ」ということにはならないように見ていかなければなりません。

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