「秘書から報告なかった」「事務所で簿外処理していた」――。14日の参院政治倫理審査会では、自民党安倍派から政治資金パーティー収入のキックバック(還流)を受けていた所属議員3人が出席したが、いずれも政治資金収支報告書の不記載への関与を否定した。3氏は監督責任を認めて陳謝したものの、事務所の会計処理を秘書任せにしていたと釈明する姿勢が目立ち、「受け手側」の疑惑解明も進まなかった。
トップバッターの世耕弘成・前参院幹事長は2018~22年の5年間に、還流分1542万円を政治団体の収支報告書に記載していなかった。同派で「5人衆」と呼ばれる幹部だった世耕氏は、「自分の団体が還付金を受け取っている意識がなかった」と釈明。「収支報告書は外部の法律事務所も入れてチェックしていた」と強調したが、還流分は事務所スタッフが現金で簿外管理していたために把握できなかった、とした。
続いて登場した西田昌司・元参院国会対策委員長代行は、5年間に411万円の不記載が判明した。説明によると、「西田氏が還流を把握すれば派閥に抗議してトラブルになる」と懸念した秘書が、議員本人に相談しないまま還流分を受け取っていたという。西田氏は「なぜ我々が巻き込まれたか。幹部たちは説明責任を果たしていない」と不満もあらわにした。
不記載額が2057万円にも上った橋本聖子・前参院議員会長は、10年以上前から還流に気づいていたと認めたが、自身の団体の処理について問われると、「秘書から報告があるときと、ないときがあった」などと曖昧な答弁に終始した。
「5人衆」に名を連ねた世耕氏が出席した参院政倫審。おひざ元の党和歌山県連では昨年11月の懇親会に露出度が高い衣装の女性ダンサーが招かれていた問題も浮上し、有権者からは一層厳しい視線が注がれた。
和歌山市の果物店主(58)は「『知らなかった』ばかりで残念。しっかりとした説明を聞きたかった」と話し、懇親会の問題には「今は物価高などで生活は厳しい。市民の視点で政治を進めてほしい」と注文をつけた。