自民党の醜聞が次々と飛び出して止まらない。その裏にあるのは、裏金問題で解散に追い込まれた派閥同士がさらなる“足の引っ張り合い”を始め、岸田文雄・首相がそれを利用して自らの権力維持に走るという国民不在の構図だった。
以前からダンサーたちを接待に使っていた
“誰が流したんだ!”
自民党青年局近畿ブロックの「ハレンチ懇親会」問題は、裏金問題で追及されている安倍派と二階派の陣営を直撃した。
懇親会を主催したのは二階俊博・元幹事長が会長を務める自民党和歌山県連。ダンサーを招いたのは安倍派幹部の世耕弘成・前参院幹事長の元秘書である川畑哲哉・和歌山県議だ。世耕氏は「二階王国」と呼ばれる和歌山で二階氏に対抗してきた県連の実力者でもある。
「川畑県議は以前からこのダンサーたちを接待に使っていたらしく、それで今回も呼んだ。親睦会は1部と2部に分かれていて、1部は女性たちがステージ上で踊るのをみんなで眺めていただけでした。ところが2部になると女性たちは客席を回りながら踊る形になり、そこから雰囲気がガラッと変わった。女性たちは男性の膝に乗ったり、男性側も触ったりと、お色気行為があちこちで過熱し、収拾がつかなくなった。川畑氏が拍手や手拍子で盛り上げていたそうです」(県連関係者)
川畑氏に聞くと、「(お色気行為については)直接見ていないと記憶しております。全ては私の責任です。取り返しのつかないことをしてしまいお詫びのしようもございません」と回答した。
自民党執行部の追及は早かった。懇親会に出席した安倍派の藤原崇・青年局長、二階派の中曽根康隆・同代理が役職辞任に追い込まれ、川畑氏は自民党を離党した。
反省どころか犯人捜しに躍起
報道のタイミングも絶妙だった。
産経新聞のニュースサイトが、懇親会での「過激ダンスショー」の動画を切り取った写真入りで第一報を出したのは3月8日、折しも、参院政治倫理審査会で世耕氏らに出席を要請するかの議決が行なわれる日だった。報道を受けて参院政倫審は全会一致で世耕氏らへの出席要請を決定した。
だが、懇親会は昨年11月18日に開かれ、メディアの記者も参加していなかった。なぜ4か月も経ってから動画が流出したのか。懇親会の“主流派”である二階派と安倍派では、反省どころか犯人捜しに躍起になっている。
和歌山の地方議員の1人は「仕掛けたのは二階派サイド」という見方だ。
「産経が報じた写真にはモザイクがかかっていたが、口でくわえたチップのお札をダンサーに渡していたのは世耕先生の代理で出席していた秘書です。ダンサーを呼んだ県議も世耕先生の元秘書で、2人がピンポイントで狙われたことから、仕掛けたのは世耕先生を追い落としたい二階系の出席者だといわれています」