自民党の党大会が17日、都内で開かれ、低支持率とは裏腹にヤル気みなぎる岸田文雄首相の姿に党内から早期の解散総選挙を警戒する声が上がっている。最短で衆院補欠選挙(4月16日告示、28日投開票)にぶつけ、秋の総裁選で再選を狙う「ほぼキシ」に持っていきたい算段だが…。
政治とカネの問題を巡って政治不信を招いている自民党だが、岸田首相は意気軒高だった。党大会で派閥による裏金問題を謝罪し、関係議員の処分について「状況を総合的に勘案し、党紀委員会の議論を経て、厳しく対応していく」と言及。解体的に出直す覚悟として、自身や党幹部が全国行脚する「政治刷新・車座対話(仮称)」の立ち上げも宣言した。
党関係者は「支持率低迷にも岸田首相はへこんでいるどころか、いずれ底を打って回復すると自信を見せています。総裁選で再選するためにはその前に解散総選挙に出ないと菅前首相のように求心力を失い、立候補断念に追い込まれかねない。6月選挙を想定しているところが多いが、その前もあるかもしれません」と指摘する。
岸田首相は春闘で大手企業が軒並み給与アップしたことや6月に一人当たり4万円の定額減税が行われることを強調。
さらに「(北朝鮮の)拉致問題は待ったなしの最優先課題。激動する国際社会に対応できるのは自公の連立政権以外ない。憲法観も安全保障観もバラバラの野党に任せるわけには絶対にいかない」と力を込め、「戦後最長の4年7か月外務大臣、この2年半、総理大臣を務め、経験と各国首脳との関係を最大限生かし、日本の安全と世界の平和のために責任を果たしていく覚悟」と〝外交の岸田〟で策を練っていることも明かした。
「岸田首相は4月に訪米します。バイデン大統領と日米同盟の結束をアピールすると同時にトランプ元大統領の再選も見据え、裏では根回しも進んでいます。またサッカー日本代表がW杯予選で北朝鮮と今月26日にピョンヤンで戦うことが決定し、訪朝交渉も進展する。金正恩総書記とトランプ元大統領はパイプがあるので、岸田首相はおぜん立てをしたいフシが見える」(永田町関係者)
4月補選に合わせての解散総選挙はタイトな日程になるが、岸田首相は前回の衆院選でも首相就任から10日後の大幅前倒し解散で驚かせた。また派閥解体、政倫審の参加など、根回しなしで事を進めてきた。党大会で見せた迫力に長島昭久衆院議員はXに「岸田総裁の演説は気魄が漲っていた。選挙は早いかもしれない。散会後、直ちに地元に戻る」とポストしている。
ネット上ではトランプ元大統領が再選することを見越して「もしトラ」「ほぼトラ」などというワードがにぎわっている。一方、不人気の岸田首相が再選する「もしキシ」「またキシ」を危惧する声も出ている。岸田首相とすれば解散総選挙で勝利し、「ほぼキシ」としたいところで、なりふり構わない手に打って出そうだ。