1月の能登半島地震により、同半島(石川県)の四つの公立病院では既に退職したか、3月以降の退職の意向を示している看護職員が計65人に上っている。武見敬三厚生労働相が、19日の閣議後記者会見で明らかにした。例年の約2倍の人数で、医療体制が維持できるのか懸念されている。
4病院は、市立輪島病院(輪島市)▽珠洲(すず)市総合病院(珠洲市)▽公立宇出津(うしつ)総合病院(能登町)▽公立穴水総合病院(穴水町)。
厚労省によると、4病院では1、2月に計15人の看護職員が辞めた。3月中に退職したか、近く退職予定の人は計50人という。地震により心身への負担が大きくなったことが影響しているとみられる。
今回の地震後、4病院の患者は半島の外に避難した人も多く、それに伴って入院や外来の患者数が減少している。このため、4病院は受け入れ態勢の規模を縮小して運営している。
それでも4月以降、新たな看護職員として計10人ほどが必要とされている。県看護協会は、4病院で1カ月以上の勤務が可能な職員を全国から募集している。
一方、石川県は4病院の看護職員をつなぎとめるため、職員が利用できる仮設住宅の整備を進めている。早ければ4月中に完成する見込みだ。
さらに、被害の小さかった県南部に避難した看護職員のため、元の病院に在籍したまま、県南部の公立病院に一時的に勤務する「在籍出向」の制度も整備した。これまでに、3人から応募があったという。【添島香苗】