円安で地雷撤去ピンチ カンボジア支援のNPO、CFで資金募る

「円安の逆境をはね返し、世界に恩返しを」。内戦後のカンボジアで地雷処理を続けながら復興を支援する松山市の認定NPO「国際地雷処理・地域復興支援の会」は、ネット上で5月30日までに700万円の寄付を呼びかけるクラウド・ファンディング(CF)を始めた。カンボジアは今、世界有数の地雷処理技術を持つ国となったが、復興にはなお長い時間と努力が必要という。
支援の会の高山良二理事長兼現地代表(76)は元自衛官。日本が初めて国連平和維持活動(PKO)を展開した1992~93年のカンボジアでは施設大隊長補佐として約600人を率いた。55歳の定年退官後、自衛隊OBらが同国で運営する不発弾処理活動を経て、2011年に「国際地雷処理・地域復興支援の会」を設立。日本で集めた資金を現地での活動に充て、拠点となる西部バタンバン州のタサエン村で2カ月過ごしては日本に1カ月戻るサイクルを続けてきた。
支援の会は有償で募ったカンボジア人の地雷除去員の訓練と地雷探知・処理活動を行い、12年あまりで対人地雷1031個、対戦車地雷229個、不発弾1823個を処理し、約472ヘクタールの地雷原を安全にした。
だが、長引く円安の影響は大きく、「1カ月当たり80万円ほどが円安で消えていく換算で、このままでは資金が底をついてしまう」と高山さん。支援の会は国家機関の「カンボジア地雷処理センター」と1年ごとに契約を交わし、共同事業契約費を支払っている。日本円換算で約600万円。5人の地雷除去員の給与や燃料、装備費などに充てており、8月の契約更改時に向けてCFでの支援が必要な状況という。
90年代初めまで20年以上続いた内戦で、同国に埋められた地雷は推定400万~600万個。日本、ドイツ、フランスなど各国の支援で地雷処理が続けられ、結果的にカンボジアは世界有数の地雷処理技術とノウハウを持つ国となった。ウクライナ、チュニジアなど各国の技術者が研修に訪れているが、地雷処理技術を共有していく上でも支援の会が果たすべき役割は大きいという。「地雷を撤去し、土地を畑に変え、そこに産業をつくっていくことがどれだけ大変なことか。破壊は一瞬だが、復興には何十年もの継続した努力が必要だ」。その思いから、改めて支援を求めている。
問い合わせは支援の会(089・945・6576)へ。【松倉展人】

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