鹿児島「メガソーラー火災」の特異性 発生から12日、爆発で負傷者も「放水できず自然鎮火待つしかない」対応の困難さ浮き彫り

鹿児島県伊佐市のメガソーラー(大型太陽光発電所)で3月27日に起きた火災は、今月8日で発生から12日となったが、実況見分はまだ行われていない。火災では消火活動のための放水ができず、自然鎮火するまで20時間以上を要した。爆発により消防隊員が負傷するなど、太陽光発電施設で災害が発生した際の対応の困難さが浮き彫りとなった。
火災が起きたのは伊佐市大口太田の「ハヤシソーラーシステム高柳発電所」。3月27日午後6時10分ごろ、「白煙が見える」と119番通報があった。消火作業中に爆発が発生し、伊佐湧水(ゆうすい)消防組合の男性隊員4人が負傷した。1人の隊員は顔に中等症のやけどを負い、別の隊員は爆発の際の熱風で手袋が溶け両手のひらに中等症のやけどを負ってそれぞれ入院した。
通電中に水分で爆発も
施設内の倉庫1棟が全焼したが、内部には蓄電装置があった。警察関係者は「蓄電のためのリチウムイオン電池が発火した可能性が高い」と話す。消防関係者も「リチウムイオン電池は、通電中は水分が加わると感電や爆発の恐れがあるうえ、蓄電施設の物は大型で、水をかけるなどの消火活動はできず、自然鎮火を待つしかなかった」と対応が困難だったことを説明した。鎮火したのは通報から20時間以上が経過した28日午後2時35分だった。
特異な火災のため、現場の実況見分も異例の態勢で実施される。地元の警察、消防、鹿児島市内の同発電所の所有企業関係者らに加え、消防庁の研究機関「消防研究センター」も参加し、今月9日から数日間行われる見通しだ。
2019年9月に千葉県市原市の水上メガソーラーで発生した火災や、20年12月に山梨県北杜市のメガソーラー近くで起きた山林火災でも消火活動が難航した。
太陽光発電に詳しいジャーナリストの石井孝明氏は「懸念されていたことが起きてしまった。リチウムイオン電池の火災の問題に加え、太陽光パネルが破損した場合は有害物質などが流出する恐れがある。全国で太陽光発電施設が急増した結果、どこにどれだけの太陽光パネルや蓄電設備があるのか実態を把握しきれていない」と指摘した。

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