民間有識者らでつくる「人口戦略会議」が全市区町村の4割以上にあたる744自治体を「消滅可能性がある」とした報告書について、熊本県の木村知事は、「住民がいる以上、消滅することはあり得ない」と見解を示した。
要望活動で県庁を訪れた8日の県町村会、9日の県町村議会議長会との面会の中で発言した。
報告書は4月に公表。出産の中心世代である20~39歳の若年女性人口の今後の推移に着目し、自治体の持続可能性を分析している。
県町村会会長の竹崎一成・芦北町長は8日、県内で18市町村が「消滅可能性自治体」とされた点に触れ、「衝撃的な予測。さも責任が地方にあるようにとられる内容だ」と疑問を呈した。全国町村会が反発しているとして、「県土全域の発展に向け、県と一体となって諸問題に取り組むことが不可欠だ」と訴えた。
木村知事は、公約に掲げた地域未来創造会議を振興局単位で設置する考えを示し、「中山間地を含めた町村の機能を維持し、地域の発展をどう進めていくかが喫緊の課題だ。町村の持ち味を生かした地域振興を徹底的に推進したい」と述べた。議長会との面会では、「(報告書は)一種の警鐘だ。本来の問題である東京一極集中の是正を国策としてしっかりやるためのスタートラインだ」と言及した。
県町村会は九州豪雨からの復旧・復興や町村財政の充実・強化、議長会は熊本地震からの復旧復興・森林環境譲与税の譲与基準の見直しを盛り込んだ要望書をそれぞれ県に提出した。