サクラやウメなどの樹木を枯死させる特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」による被害が全国で深刻化している。大阪府内では平成27年、大阪狭山市で初めて被害が確認され、今年3月までに22市町村に拡大。6月上旬の本格的な羽化シーズンを前に、府立環境農林水産総合研究所生物多様性センター(同府寝屋川市)は、防除対策などを紹介する機会を相次いで設けた。
クビアカツヤカミキリはコウチュウ目カミキリムシ科に分類され、成虫で体長2~4センチ。中国や朝鮮半島などに分布し、光沢のある黒い体と赤い胸部が特徴。成虫は強烈な匂いを放つ。
平成30年に特定外来生物に指定され、輸入や飼育は原則禁止。在来種より繁殖力が高く、天敵もおらず、未確認地域への侵入がいつあってもおかしくない。樹木内部を食い荒らして衰弱させたり、枯死させたりするため倒木事故や農業への悪影響なども懸念される。
対策が急がれる中、同センターは8月9日まで、クビアカツヤカミキリ研究の企画展をセンター内で開いている。最新の研究結果に基づく防除や分布拡大予測とともに、幼虫のふんと木屑(きくず)が混ざった「フラス」を使って被害木の見つけ方を紹介する。
6月5日には生態や被害判定、防除技術に関する研修会を開き、木の中に潜む幼虫の駆除方法などをレクチャーする。オンライン参加が可能という。
樹木医で生物多様性センターの山本優一主査は「被害の拡大防止には早期発見・早期防除が極めて重要。広く府民に関心を持ってもらえれば」と話す。
企画展、研修会の詳細は同センター(072・833・2770)か環農水研ホームページ。