崩れた冷凍ケーキ、販売会社側の「予冷不足」…地裁支部が運送会社への賠償請求退ける

崩れたケーキの責任は――。香川県内の販売会社が2020年冬にネットで販売したケーキを巡り、一部が崩れた状態で配送されたとして、運送会社に約400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、高松地裁丸亀支部であった。約2年半にわたり法廷で争われたが、判決は販売会社側の出荷前の作業の不備に言及し、請求を退けた。(足立壮)
判決や訴訟資料によると、販売会社は20年12月、県内の菓子店が作ったクリスマスケーキなどの冷凍ケーキ計約1万1500個をネットで販売した。ケーキは、箱に入れて店内などで冷凍し、運送会社に引き渡され、客に届けられた。しかし、配送されたケーキのうち一部が崩れた状態で客の元に届いた。
販売会社は約750個が崩れており、客に代金を返金したとして、21年12月、運送会社を相手取り「荷物の管理がずさんだったのが原因だ」として返金分や運送料の支払いを求めて提訴した。

訴訟では、運送会社に引き渡す前に冷凍させた「予冷」が十分だったかが、焦点となった。
販売会社側は「十分に予冷していた。冷凍せずに出荷したことはない。ケーキが崩れたのは、配達途中で段ボールが荷崩れを起こすなど、強い衝撃がかかった以外に考えられない」と主張していた。
これに対し、運送会社側は「完全に冷凍していれば落下や転倒があっても大きな損傷とはならない」とし、冷凍が不十分な状態で出荷され、輸送時の振動や衝撃によって損傷が起きたと反論していた。
同支部の塚原聡裁判官は判決で、運送会社の冷凍車や冷凍倉庫に故障や不備はなかったことなどを挙げ、「ケーキ損傷の原因は運送会社の温度管理でなく、販売会社の予冷不足にあったことを示唆するものである」と指摘。当時は多くの注文を受けて、「製造や発送の現場が混乱し、深刻な状況にあった」とし、「十分な予冷時間を取らないまま出荷に至ったことが強くうかがわれる」とした。
販売会社側は取材に対し「現時点でコメントできない」、運送会社は「コメントは差し控えたい」としている。
高島屋「取引先任せにしていた」

ケーキを巡るトラブルは、他でも起きている。
昨年12月には、百貨店大手の高島屋が販売したケーキで、購入者に届けられた約2900個のうち1100個が崩れていたことが確認された。ケーキは埼玉県の菓子メーカーが製造・冷凍し、運送会社が配送した。
問題を受け、高島屋は客への返金に応じた。取材に「原因の明確な特定には至っていない」としたうえで、「販売責任者である当社がサプライチェーン(供給網)全体を把握できておらず、取引先任せにしていたことが問題」としている。

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