部下に対してパワハラ行為をしたとして、防衛省が近く、法令の作成や政策立案を担う「背広組」の複数の幹部を懲戒処分にする方針を固めたことがわかった。政府関係者が明らかにした。
同省は2022年、元自衛官の女性が実名で性被害を公表した問題などを受けて、20万人を超える全自衛隊員を対象にしたハラスメントに関する特別防衛監察を実施。昨年12月には「制服組」と呼ばれる自衛官を中心に計245人の処分が発表された。悪質と判断された将官級の幹部自衛官は2階級降任となった。
政府関係者によると、調査範囲を背広組の防衛官僚に広げて調べたところ、複数の幹部によるパワハラ行為が確認された。部下に対して威圧的な言動を繰り返し、精神的な苦痛を与えたとされる。
防衛警備を任務とする自衛隊では、部下は上官の命令に服従することが求められるため、ハラスメントが起きやすい土壌があると指摘される。同省は根絶に向けて「防止月間」を設けるなど重点的に対策に取り組んできた。
しかし、現場の部隊などで活動する制服組だけでなく、背広組の幹部にもハラスメント疑惑が浮上したことで、問題の根深さを改めて露呈した。