「のぞみ、朝イチでも満席」 利用者ら、ぐったり 東海道新幹線再開

JR東海は、愛知県蒲郡市で起きた保守用車両の衝突・脱線事故で運転を見合わせていた東海道新幹線浜松―名古屋間の安全が確認できたとして、23日午前6時の始発から24時間ぶりに全線で運転を再開した。
各地の駅では足止めされた観光客や会社員らで朝から混雑した。JR東海はこの日、午前6時台の東京―新大阪間の「のぞみ」を上下線でそれぞれ2本ずつ臨時に増やして運行した。
JR名古屋駅にスーツ姿でいた東京都在住の会社員、田中敏男さん(52)は22日に新幹線で出張先の広島に向かう予定だったが、事故で浜松―名古屋間が不通となったため、浜松から名古屋まで在来線を利用し、愛知県東海市内のホテルで一夜を明かした。これから新幹線で広島に向かうといい、「取引先との予定が流れ、費用が余分にかかってしまった」と疲れた表情を浮かべていた。
JR東京駅の八重洲中央南口改札近くでスーツケースを引いていた三重県伊賀市の無職、森川真知子さん(70)は22日に旅行先の青森から自宅に帰るつもりだったが、東京で1泊した。「仕方ないが、この後の予定もあるので気持ちが焦ってしまった」と話す。京都市伏見区の会社員、田中壮弥(たけや)さん(32)は名古屋で足止めされ、「東京にのぞみで来たかったが朝イチでも満席で、ひかりで2時間かけてやっと来られた」と疲弊した様子だった。
事故は22日午前3時40分ごろ、蒲郡市の豊橋―三河安城間の上り線で発生。レール下に敷かれる砂利をまく砕石運搬散布車が、砂利を均一に押し固める車両に衝突。2台がいずれも脱線し、衝突した車両に乗っていた2人が重軽傷を負った。JR東海は22日の記者会見で「居眠りやよそ見はなかった」と人的ミスを否定。散布車には自動ブレーキが搭載されていたが、何らかの原因で作動しなかったことを明らかにした。同社は保守用車両の総点検を実施し、原因究明を急ぐ考えだ。
事故の影響で328本が運休し、約25万人に影響が出た。【荒木映美、真貝恒平、田中綾乃】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする