妊娠中や出産後1年以内に自殺した女性が2022~23年に少なくとも118人に上るという調査結果を、一般社団法人「いのち支える自殺対策推進センター」がまとめた。自殺死亡率が最も高い年代は、妊娠中は20~24歳、産後は40~44歳と違いがあった。
警察庁は22年以降、自殺者が妊産婦と判明した場合、統計に記している。センターはこれをもとに、日本産婦人科医会の協力を得て分析した。
自殺で亡くなった妊産婦は、22年が65人、23年が53人。時期は妊娠中が33人、産後2か月までが19人、3か月以降が66人だった。
妊産婦の自殺死亡率は、自殺者数を出生数で割って算出し、22~23年は出生10万人あたり7・7だった。年代別でみると、妊娠中は20~24歳が9・5、産後は40~44歳が17・3でそれぞれ最も高かった。
原因・動機別(複数計上)では、妊娠中は「交際問題」が39%で最も多く、産後は育児の悩みや夫婦の不和といった「家庭問題」が68%、産後うつ病などの「健康問題」が49%となった。
妊産婦の自殺を防ぐため、日本産婦人科医会などは妊娠・出産、育児に伴う心身の変化の解説や相談窓口を記載した「妊産婦と家族のためのリーフレット」を作成している。
同医会の相良洋子・常務理事は「妊産婦や周囲の人に、妊娠・出産に伴う精神的な問題についての知識を広めると同時に、困っている当事者を早く支援できる体制づくりが必要だ」と話している。