山形、秋田両県での記録的大雨による被害から25日で1カ月となった。最上川などの氾濫で推定2千棟超の住宅が浸水などしたほか、農林水産業や道路、堤防といった公共インフラの被害総額は「過去最大」(山形県)となる見通し。今も180人以上が避難生活を送る中、自宅再建を諦め移住を選ぶ住民も目立ち、一部の被災集落は存続の危機に直面している。
荒瀬川が氾濫した山形県酒田市。荒町地区の教諭小松有更さん(58)は避難所に身を寄せつつ、自宅から泥をかき出す作業に追われていた。「家のカビや土ぼこりで妻も私も肺炎になった。再び住むには半年かかる」とため息をつく。
自宅が浸水した男性(80)は、40年以上暮らした同地区から離れることを決めた。「家の中まで土砂や木が流れ込んできた。本当は住み続けたいが、再建は諦めた」。酒田市の別の地区や山形県戸沢村など、被害が特に大きかった地域で同様の動きがあるという。
酒田市は大雨特別警報が1日に2回出る異例の豪雨に見舞われ、住宅被害は被災市町村で最大の700棟超。