東京電力は5日、福島第1原発事故で溶け落ちた燃料(デブリ)の試験採取が作業ミスで中断した原因について、東電社員や現場作業員の思い込みによる確認不足が主原因だったと明らかにした。今後は東電社員が現場に立ち会って確認手順を見直すとしており、デブリ採取に向けた準備作業の再開時期は来週になる見通し。
東電によると、デブリ採取の装置を押し込むパイプを接続する順番でミスが見つかった。パイプは5本あり、いずれも1・5メートル、重さ約95キロ。7月28日に協力企業の作業員が装置に電気を供給するケーブルを内側に通した際、1本目のパイプが既に設置されていると思い込み、2本目のパイプを誤って先頭に配置。翌日以降も気が付かないまま作業を継続した。
1本目のパイプと2~4本目のパイプは仕様が異なるが、外観が酷似。パイプの設置作業は2号機原子炉建屋の中で行われ、高線量下で作業員も重装備が必要な厳しい環境だったという。一般的な準備作業であり、東電社員も現場に立ち会っていなかった。
記者会見した東電廃炉責任者の小野明・執行役副社長は「現場の確認を協力企業に任せきりで、大いに反省すべきだと思っている。私たちへの不信感が生まれたことは否めないが、引き続き緊張感を持って取り組みたい」と述べた。
再発防止に向け、作業工程の見直しや追加対策の検討も進めており、その後パイプを順番通りに設置し直す作業や、採取装置の動作確認をした上で、数日かけて準備作業を再開するとしている。
デブリの試験採取は8月22日に開始する予定だったが、作業ミスが発覚し初日で中断。東電の計画では、2号機原子炉格納容器の側面にある貫通部に「テレスコ式」と呼ばれる釣りざお型の装置を差し込み、2週間程度かけて3グラム未満のデブリを試験的に採取する予定だった。