東京・赤羽の「赤羽八幡神社」を運営する宗教法人「八幡神社」(東京都北区)で代表役員を務める男性宮司(63)が、法人収入の一部約2億5000万円を私的に流用していたとして、同法人が東京国税局から源泉所得税の徴収漏れを指摘されたことが関係者の話でわかった。流用分は法人から宮司への「給与」に当たり、法人に源泉所得税の納付義務があったと判断された。法人と宮司は重加算税を含む計約1億3000万円を追徴課税されたという。
赤羽八幡神社は1200年超の歴史があるとされ、「赤羽八幡」として地域で知られている。約10年前から「∞(無限大)」の模様をあしらったお守りなどを販売。この模様が人気アイドルグループ「関ジャニ ∞ 」(現・SUPER EIGHT)を連想させるとして多数のファンがお守りなどを購入し、多額の収入があったとみられる。
関係者によると、宮司は2022年に父親の後を継いで八幡神社の代表役員に就任する前から、お守りの販売などで法人が得た収入の一部を自身の生活費などに流用。同国税局の調査の結果、流用額は23年までの7年間で計約2億5000万円に上ったことが判明したという。
同国税局はこの流用分について、法人から宮司への「給与」に当たると認定。給与については、支払う法人側が所得税を源泉徴収(天引き)して税務署に納付する義務があるため、「源泉徴収漏れ」となった。さらに、宮司が参拝者らから受け取った金を法人の口座に入れず、自身の個人口座にそのまま入金していたことなどから、重加算税の対象となる悪質な仮装・ 隠蔽 も認定されたという。
宮司は読売新聞の取材に対し、「(書類の)記載の間違いがあった」と述べ、意図的な税逃れを否定。「当局と見解の相違も多々あったが、最終的には指導に従い、修正申告と納税を済ませた。あとはプライベートなことなので話すことはない」と話した。
◆源泉所得税=企業や団体、個人事業主などが従業員らに給与や配当などを支払う際、あらかじめ差し引いて税務署に納付する所得税。従業員が確定申告の手間を省けたり、国が安定的な税収を確保できたりする利点があるとされ、海外でも多くの国で採用されている。